焦った、まさかあそこで刹那さんの方の報告書に気づかれるとは。


ひとしきり走った所でほっと息をつき、自身の持つ報告書を見つめる。





まさか彼女だってこれが自分自身の1日の行動や身の上を纏めた物だなんて思いつかないだろう。というか気づかれていたら俺の立場がない。


まぁあの場で刹那さんの手に渡っていたとしてもわざわざ中を覗くなんて事はしないだろうからどうって事はないんだけど。



苦笑し封筒を手に持ったまま再び歩き出す。





「あー、そう言えば本当に買い出し行かなきゃいけないんだ。早く行かないと」





思い出して呟いているとびゅうっと風が吹いた。手に持っていた封筒がはらりと宙を舞う。




「あ、やべっ!」




おまけに中身もばさりと床に散らばった。こんな物見つかったらコトだ。どやされるぐらいじゃ済まない。





「封をちゃんとしとくんだったよ………ん?」





慌ててそれをかき集めているとふと何か違和感の様な物を感じた。手元の書類をじぃっと見つめ、はっとした。顔がみるみる青ざめる。





――コレ、さっき刹那さんに渡したはずの書類じゃん。

じゃあ刹那さんが持っていったのって――






いやいやいや、さっき自分で大丈夫だって言ったじゃん!





だけど、今の自分みたいになにかハプニングがあったら…


……嫌な予感がする。






「ダメだこうしちゃいられないっ!!」






俺はさっき駆けてきた廊下を再度走り出した。ああ、どうか無事でありますように――!!









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