「お早いですね」
「近藤さんと相談してたからな」
「ああ…」
刹那さんの事か。
副長はまた紫煙を吐くと彼女に言う。
「今日この後の集会で紹介がてらお前の役職も発表する。
遅れずに来いよ」
「はい」
刹那さんは頷いてそばの汁を飲み干す。
器を置き、立ち上がろうとする彼女だがその動きが突如止まる。
「…あの」
「あ?」
「それは何ですか」
首を傾げて刹那さんが指差した方を見ると、そこにはマヨネーズがたっぷりかかった"土方スペシャル"があった。
…ああそっか。見るの初めてだっけ。
「お茶漬け土方スペシャルだ。食うか?」
「…遠慮します」
もっともな返答をした彼女に副長はうまいぞ、とまだ勧める。食べたばかりなので、と彼女は丁寧に断り今度こそ席から立ち上がった。
「すみません、山崎さん。私は荷物を纏めなければいけないのでこれで」
「あ、うん。またね」
少し寂しさを感じながら手を上げると彼女はぺこりと一礼し、その場を後にした。
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