朝早い事もあって、まだ閑散とした食堂に入りおばさんに注文してから席につく。



待っている間、何を話そうかと考えていると刹那さんの方が先に口を開いた。





「仕事の話があるんでしょう。聞かせてもらえませんか」


「あ、ああ」





言われて少し戸惑う。

その為に誘ったと思われてるらしい。


もうちょっと色気のある話をしたかったのだが、こう言われては仕方がない。







俺は仕事内容や局中法度の事などを簡単に説明し始めた。

刹那さんは質問を挟む事もなくただ頷きながら俺の話を聞いている。





「局中法度は手帳に書いてあるから後で確認しておくといいよ。

あと就く役職は後で局長と副長から知らせられると思うから。」



「分かりました」


「まぁ刹那さんの事だからいい所に就けると思うけどね」



「A定食とそばの人ー!!」

「あ、はーい」





返事をして立ち上がる。彼女も一緒に立ち、カウンターでおばちゃんから食事を受け取る。





「あ、それから隊服は採寸してから一週間もしたら届くよ。

言うことはそれくらいかなぁ…」




いただきます、と手を合わせ箸を割る。







「…あの」

「ん?」




もごもごとご飯を頬張りながら思案顔の刹那さんを見返す。




「真選組の仕組み…と言うのを教えてもらえませんか。どんな役職があってどんな風に成り立っているのか」


「ああ、うん。

真選組で一番偉いのは知ってると思うけど局長だね。

でそこから副長、隊長、監察、平隊士…っていう風に下へ並んで行くんだけど」




ごくん、と咀嚼したご飯を飲み込み、続ける。




「どんな風に成り立っているかは隊服が届く頃には分かってるんじゃないかな?」





説明するより見た方が分かるだろう、と思いそう言う。





「…それもそうですね」




彼女は一つ吐息しいただきます、と呟いてからやっとそばに手をつける。


そう言えば、と俺は思い出して刹那さんに問う。




「刹那さんは何で真選組隊士に志望したの?」


「……この腕を何かの為に役立てたいと思って、それだけです」


「へえー」





確かに何処かに役立てなければ勿体無い程の腕だもんなぁ。

昨日の隊長と彼女の斬り合いが頭を掠める。





「山崎さんは?」


「俺?俺は別に語るほどの理由は…」





苦笑いをこぼしながら手を振っているとふと隣から苦い匂いが漂ってきて其方に視線を移す。





「あ、副長おはようございます」


「おう」




いつの間に座っていたのか副長は後ろの壁にもたれかかり、紫煙を吐き出しながら返事をする。


刹那さんも挨拶をし頭を下げ、それに対し副長も頷く。







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