第12話  元親







「おいおい、変な時に来ちまったか?」
「「!!?」」






 誰かが私達のいる部屋、元就様の部屋に来て声を掛けられたらので、元就様は急に私を離されました。私自身も驚いて少し惚けてしまいました……。








「なっ、何用だっ………何故ここに貴様がおる!!」








 物凄く動じておられる元就様が何だか可愛く見えます。
 しかし、私には分かりかねますが、お知り合いの人?私達の前におられる人は紫色に統一されている装束を纏っていらっしゃる方。左目の眼帯ととても綺麗な銀色の髪。………異国の方?








「俺はちゃんと入るっつったからな。ほらよ、この前の件で来てやったんだぜ」
「……………」









 荒くその方の書を取り、元就様は足早にその場を抜けられました。そんな様子を私は目で追って、元就様が見えなくなるまでみていました。







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「アンタ、まさかと思うが…毛利の嫁さんか?」
「嫁………!!……っいえ、そんなおこがましいです…。ですが、正室か側室の候補としている身でございます」
「候補?また変な位置にいるんだな……」








 銀色の髪の男は右手で髪を掻く。美伊は少し興奮した気持ちを抑えようと何度か深呼吸をした。
 美伊は誰よりも元就のことを想っている。だからこそ先のことを言ってしまったのだ。








「(しかし、抱きしめられるとは思いもしませんでした……至福の一時……)」
「顔、にやけてるぜ?」
「はっ!!」








 しまった、と後悔する美伊。すると男はククっと笑う。







「面白ぇな、アンタ。毛利の嫁にするには勿体ねぇぐれぇだ」
「うぅ………」
「おっと、そういや名乗っていなかったな。俺は長曾我部元親だ」
「長曾我部様ですかぁ…………………ん……?長曾我部……?」








 えぇ!?と美伊は驚いて元親の方を見た。
 それもそのはずだ。長曾我部元親と毛利元就は因縁の敵手同士。瀬戸内で争っている者なのだ。
 つまりは元就の敵なのだ。そんな人がこの毛利家にいるのに美伊は驚いた。








「…………あ……あの、……」
「安心しろ。誰もアンタを取って食おうとはおもわねぇよ。その証拠に武器と部下を置いてきた。武装はしてっけど、そこは勘弁してくれよ?何せ敵の腹の中を丸腰で来てるもんだからよ」
「…………」
「………まぁ、すぐに信じろとはいわねぇよ」







 そういって元親は縁側に座った。美伊はその様子を後ろから観察していた。



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