第18話  前田慶次










「で!で!家康さ〜ん?どんな恋話なんだい?」
「…………あ……」
「そうだそうだ、いい加減のろけ話を聞かせろって!」
「……………」








 二人とも、心配してくれてるんだな。あぁ、ワシは幸せ者だ。ちゃんと心配してくれてる友がいる。
 三成も、不器用だが心配してくれてた時があったな。

 懐かしい。



 家康はフッと笑い、彼女のことを懐かしく語った。




















 その頃、葵はと言うと━━━










「あたしゃ決めたよ!」
「ほ、本気なのか……?葵……」
「本気だね!これに賭けてやる!!」
「ほうけほうけ(ほうけ=そうか、という意味)…………残念だ。葵、この一手でワシ等の勝ちじゃああ!!!」








 若い男はパシっと石を盤に叩く。すると葵は顔を青ざめた。









「だああああ!!まげだぁぁぁああ!!」
「ふっ………葵、まだまだやな。読みが甘い!!」
「ぐぅ………っ!」









 どうやら囲碁をしていたらしい。だが、ちゃんとした囲碁ではない。地面に碁盤を書き、そこら辺にあった適当な石で囲碁の石の代わりをする。
 葵は毎回この囲碁で村の若い男子達に誘われては負けている。
 つまり弄ばれているのだ。

 だが、当の本人はつゆ知らず、いつも受けた挑戦は挑んでいる。









「おーい、そろそろ帰ってきんしゃーい」
「はーいっ!んじゃな、葵!」
「おー、またなー」









 日は夕日に変わり、飯時の時間が近付く。だが、葵はその場にじっと胡座をかき、地面に書かれた盤を見つめていた。
 そしてしばらくすると、「ん゙ー」と唸りながら考える。








「どーやったら勝てるんだろ………毎回毎回負けてたら格好悪いじゃん……」
『じゃあ僕が教えてあげようか?』
「んやぁ、別にかまわな…………ん?」









 葵は村の住人の声を聞き分けることが出来る。何せ小さい村なので20人いるかどうかの村だからだ。
 しかし、先程の声は村の住人の声ではないと分かり、葵は俯いていた顔を上げる。










 そこにいたのは白と紫が特徴的な仮面の男だった。



戻るか?
それとも
目次に行くか?


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