第12話  石田三成



 城に到着した元親と家康は、すぐに家康の部屋に通された。家康の部屋は客間と違い、さすがは城主というべき広さである。
 そんなのはお構いなしに元親はずかずかと入っていき、腰を下ろした。同時に侍女がお茶と菓子を持って部屋に置く。一つずつ丁寧に、一人分を元親の前に、もう一人分を更に前のところに置くと、部屋から出て行った。
 そんな一部始終を見てた元親のあとに家康が菓子と茶が置かれた前に座る。すると、元親は家康が何かの小さな巻物を持っていたのに気付く。




「なんだ?その巻物」
「あぁ、これか?」




 家康は巻物を開き、元親にも見えるように床に置く。そこには、鳥らしき絵と地方の名前、何故か方角も書かれていた。




「………なんだこれ」
「懐かしいな、これ、昔ワシと三成が見た青い鳥のつもりなんだ。この地方の名前と方角は飛んでいった方向を指すんだ」
「青い鳥………?そんな鳥がいたのか」




 家康はその後に「青い鳥は三成が描いたものなんだ」と笑いながら言った。しかし、元親にとっては全く話が通じていない。何のことか分からない、と元親がまじまじと巻物を見ていると家康が言葉を出す。




「急に見せても分からないな。これは、昔見た青いとりで……」
「いや、それついさっき聞いたぞ、家康。俺が言いてぇのは何でこれを見せたのかのと何の意味があるのかだ」
「あぁ、そうだった。いやぁすまない」




 ハハッと笑ってごまかした。家康にしては珍しい間違え方をしたので少し苦笑する元親。道中の話といい、今日の家康は何かあるなと察する。




「実はな、さっき話した正室の話なんだが………ワシがしたいと思っている人と会ったきっかけをくれたのがこの青い鳥なんだ。……いや、厳密には”ワシ等”だな」




 そういうと、家康は寂しそうな顔をした。そんな家康を見ながら元親は。



「で?その子が気になるのか?会いてぇなと思わねぇのか?」
「それはっ…………」




 家康はくぐもった言葉を見つけようと口をパクパクとする。しかししばらくすると、家康は下を俯いた。元親は一つ溜め息をこぼし、家康の肩を叩く。




「なあ、家康。アンタのことだ。石田がもういないから会えない、とでも言うんだろ?その子と会ったのは石田と一緒だったからーとか。そんで、自分の感情を押し殺して……それは自分が望むことか?」




 元親が言ってるのは大体合っていた。自分が行けないのは三成がもう隣にいないから。だが、一番の理由はまた違っていた。





「元親、少し違うんだ」
「じゃあなんだよ?」
「彼女はワシではなく」












三成に会いたがっていると思うんだ



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それとも
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