第10話  西海の鬼







「ほー、んなことがあったのか。アンタも大変だなぁ」
「全く独眼竜には適わないものだ。本当に姫君たちを決めるとは思わなかった」



 昨夜のことを元親に話す家康。フッと笑みをこぼしながら家康は政宗のことを言う。


「そういや、久々に城に帰ったら俺も決めろ決めろって煩かったなぁ………」
「ははっ、元親もか。この流れからだと正室・側室が決まっていない武将たちはその話で持ち切られそうだな」



 それはゴメンだ、と元親がカッカと笑った。すると、家康が真面目な顔になり元親を呼ぶ。場所は港から離れた城に続く道。かなり近くにあるので、木々の間からでも下から見渡せるくらいの場所。



「こんな所で何だが………聞きたいことがある」
「なんだ?急に」
「この人と、一緒になりたい人………というのか?そういう人いるか?」
「つまりはコイツを正室にしたいってやつか?」




 家康は「あぁ」と言い頷く。元親は右手で顎を持ち、うーん、と唸る。



「そーいうのはいねぇなぁ……まぁ、今までが戦ばっかしてたし、考えることなんざなかったしなぁ」
「そうか」



 そういうと家康は足を止め、考えるように顔を俯いた。元親はその様子に気付き、家康の元まで戻った。



「どうかしたか?」
「いや、うーん……」



 さっきの話からして元親は気付く。もしかして、と思い口にする。



「家康はいんのか?そういうやつ」



 家康はハッとして顔をあげると、元親の顔がそこにあったので少し驚いたが、すぐに答える。

「いるが、今は分からない」

と。



戻るか?
それとも
目次に行くか?


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