「ハシビロコウの嘴がどうした?」
「あなたの前髪がそれに似ていると思って」
「……………」
「あっ!変って意味で言ったわけではありませんからね?ね?」







 少々焦りながら弁解をする。やはり、この前髪は変なのだろうか、と三成はふと思うが、彼にとってはこの髪型は生まれつきであり、直しようがないのだ。
 すると、日菜は三成の髪に手をやり、そっと撫でる。その行動に驚き、三成は目を見開く。







「あ、ワックスつかってないんだ。すごーい……自然とこうなるなんて……しかもサラサラしてる……」
「なっ……!?」







 三成は思わず日菜の手を掴んだ。今度は日菜が驚き、三成をみた。
 すると、日菜は微笑んで言う。







「そういえばあなたに挨拶をしていませんでした。すみません、突然髪に触れてしまって」
「……いや、構わん。私は石田 三成だ」
「そうでしたか、よろしくお願いしますね」
「…………あぁ」








 三成のほうが背が高いため、日菜を見下げる形だ。普通の人なら、三成の目と覇気に怯えるのだ。それは秀吉にも言えた。
 秀吉の体格と目つきに怯えるのが普通なのだ。だが、彼女は怯えなかったのだ。むしろ興味津々に見ていた。
 それをみた三成は「秀吉様を恐れぬとは」と驚いた。慶次と半兵衛にも言えることだが、彼らは秀吉の古き友人だからということで納得したのだ。








「さて、挨拶は終わったことだしさ!飲もう飲もう!なっ、秀吉、半兵衛」
「うむ」
「そうだね。三成くん、いつまで日菜くんの手を持ってないでお酒を飲もう。日菜くんも早くおいで」








 あっ、と三成は焦って日菜の手を離した。日菜はその行動が可笑しく見えてクスっと笑って半兵衛達の元に行った。

















 それから私と日菜はよく会って話していたが、きっと日菜を気にしていたのはその頃からだろう

 不思議と不快感がなかったのだ





 だが………それさえも、出会いさえも、忘れてしまうのか?

 今までの時間は………消えてしまうのか………?








「い……………やだ……」








 三成は過去の日菜を思い出しながら、今を受け止めようと必死に待合室で考えていたのだった。



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