日菜があの事件に会うまで私は隣にいた。だが、突然のことだった。









━━━━━━グサリ








 日菜がふいに振り向くと誰かが日菜にタックルしてきた。私は一瞬、日菜に当たってきたただの輩だと思って突き放そうとするが、何か日菜の様子がおかしかった。
 普通、日菜なら誰彼構わずぶつかってきた輩に「大丈夫ですか?」と声をかけるはずなのだ。そんな奴だ。
 なのに、今回はそれがなかった。








「おい、貴様さっさと離れ………」








 離れない輩をとりあえず離そうとすると、男は急に離して私にぶつかりながら反対方向に走っていった。
 何だったんだと思い、日菜のほうを見ると








「日菜大丈夫…………か……」








 目を疑った。

 日菜の周りだけゆっくりと時間がくるかのように、日菜は頭から地面にかけて落ちていった。



 日菜の腹には、ナイフが刺さっていた。



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