《二度目の幸福論説》の半兵衛さん物語です。
まだ夢主が記憶喪失なる前の話。




















 僕がいるこの病院は所謂(いわゆる)総合病院。至って軽いが命に危険があるような病気を持っている患者が入院していたり、本当に重症な患者が入院している。
 あと、今の医療でも治せない………否、見たことのない病気の患者も受け入れている。
 僕は吉継君みたいな皮膚病の患者や、あと心臓外科の患者を主に担当している。吉継君の場合は僕が無理矢理担当をやらせるように言ったけど。





 そして、僕はそこである患者と出会った。
 完璧僕の管轄外だと思われる患者だ。









「えーっと、1020号室の患者はどんな症状…………………………ん?」










 エレベーターの中で新しく担当するその患者のカルテを見て症状がどんなものかを確認するが、そこには名前と性別・年齢、あと、どんな具合なのか詳しく書かれているところには一言。





『朝昼夜で性別入れ替わる』





 ……………何これ。カルテになってないよ。分かるのは名前と性別、年齢だけじゃないか………看護士しっかりしてくれよ………。
 それに、僕の担当科は皮膚科と心外(”しんげ”(または”しんがい”)・心臓外科の略語)だよ?性別変わるとか関係ないんじゃ…………むしろ脳外(のうげ・脳神経外科の略語)の担当科の先生のほうがいいような……(頭の問題のような気がする……)









「…………とりあえず患者を見てから考えてみようかな」









 ちょうどエレベーターが開いたと同時にカルテをパタリと閉じて出て行く。

 不思議な不思議な患者のお待ちだ。







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