物語の成り行きは『link』に貼られてある『君に恋する3秒前』に飛んでください。



















 場所は海の近場。


 元親が予想していた場所に彼女たちはいた。ちょうど岩陰になる場所。冬ということもあり、人は全くといっていいほどいなかった。いるのは彼女らだけ。







「あの、何でここで話を……?」
「寒いわね。チカくんは優しいから暖めてって言ったら手を繋いでくれたわ」
「は………?」







 砂川はなびく髪を左手で抑えながら名前に言う。しかし、名前には何のことだか分かっていなかった。
 砂川は名前を睨む。しかし、名前にとっては何のことだかさっぱりだった。







「あのチカくんって誰ですか?」
「………3ヶ月前にこっちに転校してきた人と言えば分かるわよね?」
「……長曾我部くん?」







 何故ここで元親の話をするのか名前には分からなかったが、元親の彼女だということは分かった。
 だが、例え彼女が元親と自分がルミナリエに行ったことを知ったとしても、あのときは自分から途中で帰ったのだ。だから彼女には何の支障もないはず、と名前は思った。



『しかもこんな人気のない場所で言うことやないもんな』




 そう自分に言い聞かす。砂川はまた口を開く。








「ねぇ、どうやってチカくんを口説いたの?どんな手を使ったの?」







 徐々に名前に近付く砂川。少し怖くなり、千里は徐々に後ろにいく。足場が悪いせいで段差に気付かずに転けそうになるが、何とか立て直しつつ、また後ろに下がる。


 だが、後ろに行くにも限度がある。足場がなくなるのを感じると名前は後ろを振り向く。
 そこは高さは差ほどないが、波が強く岩にぶつかりながら引いていく。これ以上後ろに引くことが出来ない。
 だが、砂川は気にせずに名前に近付く。







「砂川さん……だよね?何でここで長曾我部くんの話が出てくるの?私は長曾我部くんと何もないよ」
「嘘つき」
「嘘やない!!本当に何にもないんやって!」
「嘘つき!!!」







 砂川の目は真っ暗だった。まるで…………いや、完全に嫉妬に狂った人の目だった。





『何この昼ドラみたいな展開………どこの番組?もう最悪や…ホンマに何にもないのにこんな所で……』





 冗談混じりで心の中で呟く。だが、今目の前で起こっていることは本当のことだった。
 あぁ、事の発端がそのルミナリエなら行かなければよかった、と思う程まで名前は冷や汗を流しながら心の中で呟く。

 そんなときだ。








「名前!!」
「っ!」








 タイミング良く元親が来たのだ。名前は少しホッとした。
 その時だ。砂川は急に元親の方に駆け寄って抱いた。







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