物語の成り行きは『link』に貼られてある『君に恋する3秒前』に飛んでください。
”長曾我部くんってさ、罪作りが得意な人だよね”
そんなことを言われて初めて気付いた。
今の俺は最低なのだと。
彼女の泣きそうな顔が今でも目に映る。
そして、あのルミナリエで、彼女が自ら俺の手を離した。それは、きっと、俺とは繋ぎたくない。そういう意思なのだろう。
しかし、ジンクスも気になる。
『光の道を行く途中で手を離せば、その恋人は別れ、一生離れるであろう』
それが本当だったら、俺は…………
「くそっ………」
「どうしたの?チカくん」
あれから数日。俺はあれ以来名前と話してない。
俺の……本当に好きなのは………
「チカくーん?」
「……………」
「………別れようぜ」
「え………」
「俺が本当に好きなやつがいるんだ。だけど……今のままじゃいけねぇんだ。……頼む…」
「………イヤ。私別れたくない。誰よ、その人って」
目つきが変わった。けど、言わねえと別れないらしい。………言うか。
「同じクラスの名字名前だ」
「………何がいいの?」
「何が……それはわかんねぇ」
「じゃあなんで…!」
「殆ど一目惚れだったと思う。んで、話してるとすげぇ落ち着く。そんな存在」
「………………」
諦めがついたのか、やっと俺から離れた。そして、彼女は俺に指を指してすごい怖い形相で俺を睨む。
そうだ、恨むなら俺を恨め
そう言うように俺は彼女を睨んだ。すると、彼女は荷物を持って教室から出た。ふぅ、と安堵の溜め息がでる。
俺以外何もいない教室。たった数週間前だが、名前と初めて話したのがこんな感じの教室だった。懐かしく感じる。
妙に固かったアイツが面白くて笑いそうになった。
無理矢理話を作った祭りの話も、ルミナリエに行って話したときもすげぇ楽しかった。
俺の中ではずっと「名前」と呼んでいたが、実際に呼びたいがために、勢いで聞いた名前の呼び方。
やっと口に出して呼べると思ってた矢先に、名前がイルミネーションの中で俺に質問する。
「付き合ってって言ったら付き合うの?」
俺は答えられなかった。
答えられるわけがなかった。
名前とは真面目に付き合いたいと初めて思えた女性だから。
「来るもの拒まず……ってこと?」
内心焦った。どうすればいいのか分からなかった。………だが、コイツには嘘はつきたくなかった。
今の俺は、実際にそうだったから。だから俺は…………
「………あぁ」
そう答えてしまった。そう答えるしかなかった。
しかも、そのあと名前はすげぇ泣きそうになりながら俺の手を離した。…………もう最低以下の馬鹿だ。
「………名字…」
頭を上にやり、それに伴い椅子に座っている身体が後ろに反る。
「……名前…」
「名前」と呼びたい。
自分で壊した関係なのに、傲慢すぎる。
「元親」と呼んで欲しい。
偉そうなことを言うな。
「あ゛ーーーー………」
空の教室に響く自分の声。叫べずにはいられない。自分がどれだけ馬鹿なのか、俺は。
後悔後をたたず、とはよく言ったものだ。俺は席から立ち、教室を出て行った。
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