名前と政宗がいる住宅地は子供が少ないことで有名だ。そんな住宅地の中でぽつりと一カ所だけ家が建ってない場所がある。そこは数少ない子供たちの遊び場、公園だ。政宗たちの家から10分もすれば到着する場所なのだ。
 ブランコ・滑り台・砂場以外は特になく、幅もここの住宅地の家よりも狭い。そんな場所で政宗と名前は遊んでいた。
 名前はまず、政宗が来る前に作っていた砂の山を見せた。大きくはないが、名前にとっては頑張ってつくった力作なのだ。











「わたしがきのうつくったの!」
「穴はつくらねーのか?」
「穴をつくったらくずれちゃう………」









 名前は少し悔しいような苦いような表情をする。
 名前自身は何度も穴を作ろうと思ったが、そのたび必ず崩れてしまい、今回のは作らないと決めて出来た山なのだ。
 そんな名前の表情を見て、何かを決したように政宗は名前に言う。









「じゃあ、おれと穴つくろ」
「でも、くずれるよ?」
「そんなのわかんねーだろ?両方から穴をつくったらもしかしたらくずれずに穴ができるかもじゃん」









 あまりにも真っ直ぐな顔をしている政宗を見た名前は渋々頷いた。


 が、穴作りをして5分も経たないうちに山は虚しく崩れ落ちた。政宗は血の気が引く思いで恐る恐る名前の方を見る。案の定、名前の顔は泣きそうな顔をしていた。







「ご、……ごめん…………なさい…」
「…………んーん。分かってたからいい。おにごっこしよ!」








 そういって名前は政宗の手を引っ張り、ケロッと笑った顔を見せた。だが、政宗はさっきまであった完成した山を見せたあの笑顔とは子供ながらに違うと分かってしまった。








「まーがおにね!」
「まーってだれ?」
「まー!」








 誰かと聞けば名前は政宗に指を指した。まさか自分のことだったとは思わなかった政宗は目を見開いてその指を指している本人を見た。
 名前はニヤリと笑えば、高らかな声で「まーおにー!」と笑いながら政宗から逃げ出した。少し唖然としながらも、自分が何故か鬼になったからには捕まえてやるという負けず嫌いな性格が出てきて、政宗は逃げる名前を追いかけた。

 その日は子供たちの遊ぶ笑い声が住宅地を響かせたらしい。








 ──────







 政宗は名前と遊んで帰ったあと、引っ越しの後片付けをしている小十郎の元にすぐに駆け寄った。







「こじゅーろー」
「おかえりなさいませ、政宗様」
「うん、ただいま」
「……………?どうかされましたか?」
「…………あのさ───」







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