3*9






 家康と三成が泣き止んだのはそれから数分後だった。まだしゃくりが止まらないが、話せるくらいまで落ち着いていた。

「とりあえず落ち着いたか?」

 元親がそう言うと家康と三成は同時に首を縦に振る。それを見て元親は一安心をし、2人の頭をワシワシと撫でた。その隣で立って様子を見てた政宗も安堵して少し笑いかけた。

「んじゃ、俺らに教えてくれるか?どうやってここに来たのかをよ」
「私たちは家にやってきた爺を追いかけただけだ」
「ここの家のか?」
「違う。ワシらの家だぞ」

 爺と聞いて政宗は普通に不審者の類いか何かと思ったが、元親は何となく引っ掛かる人物を思いだし家康達に聞く。

「爺さんってどんな格好してたんだ?」
「紳士だったぞ!あれが世に言う"しつじ"という格好なのだろうか?」
「とにかくあやまってた。元就の父上と一緒にきてた。元親たちが帰ってこない理由がその爺の家のせいだったと聞いた」
「……なるほどな」
「元親何か分かったのか?」

 政宗は元親の横に座り、話を聞く体制にした。

「多分だけどな」
「多分でもいい。話せ」
「家康と三成がいう紳士な爺さんっていうのは、鶴の字の執事さんだ。これは予測だが、鶴の字がその執事さんに俺らの様子を見に行ってくれって頼んだんだと思う」
「その"つるのじ"っていうのはアンタのダチか?」

 元親はコクリと首を縦に振り、話を続ける。

「鶴の字は女だが、俺と元就…俺のダチの一人でここに一緒に落とされたやつだが、そいつと一緒によくつるむやつで、ここの家の娘でもあんだよ」
「hum...でも何故アンタらの様子を見に行ってくれなんて頼んだんだよ」
「学校帰りに鶴の字が急に寝てしまってな。仕方なく俺と元就でここに送り届けに来たんだ」
「その時に落とされた、と言うことか……」

 だっせぇだろ、と苦笑を見せる元親の意見に政宗は「不意討ちだったなら仕方ねぇだろ」という。その言葉を聞いて後ろ頭をかいてどこか恥ずかしそうな顔をする。

「そんでまぁ、家康と三成は親父たちの話を聞いて俺がここにいることを聞いたんだよな?」
「うん」
「そうだ」
「それから話が終わったあと、密かに家を抜け出して執事さんに付いていった………んだよな?」
「ぬけだすの大変だったぞ!」
「私はやめたほうがいいと言った」
「そこから何処まで付いていったんだ?」

 政宗がそれを聞くと2人はうーんと唸り考える。すると家康が思い出したのか手のひらをパチンと合わせる。なにを思い出したのかと聞くようにぐいっと元親と政宗は顔を近付けると──

「はらへった!」

 思わず座りながらずっこけてしまう。元親は思わず家康の頬を摘まんで伸ばすと「いたたたたっ、ごめんなさいいいい」と少し涙目になりながら謝る。
 そのあと今度は三成がハッとした顔をする。今度こそ答えが返ってこいと願う政宗と元親。

「白い、大きな家だ。しつじの人がその家の門?みたいなところに入る瞬間に後ろから誰かに口をおさえられたのを思い出した」
「white house?」
「それはここの家の外見だな。ここの家かなりの豪邸ででかいぜ」
「マジかよ」
「もほひかぁあ………はなひへぇ〜…!」
「あ、わりぃ」
「貴様がはらへったとぬかすせいだ。自業自得ともいう」
「だって……」

 少し赤くなった頬を擦りながら家康はぷくうと膨らまして三成を見るが、三成は無視する。
 元親と政宗は三成と家康をここに連れ込んだのがここの屋敷の人とすぐ分かり、何故ここに家康たちがいたのか納得した。何のために子供だけをここに置いたのかは謎だが、それ以上のことはここより安全な場所で聞いたほうがいいと思った。
 すると今まで黙っていた幽霊元親が話し出した。

『おーい、もうそろそろヤバイぜ。アイツらが来た』
「あー、とうとう来たか…」
「え、も、元親……?」
「すけてる……ういてる……」
「こいつのことは後で話す。とりあえず逃げるぞ」
「おう。家康、三成、行くぞ」

 家康と三成は幽霊元親を気になりつつも元親の手を握り、4人はとりあえず近くの階段に登り、走っていった。


 元就たちと合流するまであと数メートル。



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