3*8






 君たちも来なさい、君たちも来なさい


 おいでませ、おいでませ、力を持つものよ


 さぁさぁ今宵だけとは言わず、日が昇っても力を見せてくれ


 おいでませ、おいでませ………おいでませ、おいでませ………









「…………んっ…」
「……ここは?」








 御爺という者が長曾我部家から帰ったあと、三成と家康はドアを少し開けた時だ。急に視界が暗くなり、眠くなった。2人は眠気に負けてそのまま倒れた。
 それ以降の記憶が全くなかったのだ。

 それなのに今いる場所はどこか分からない暗い場所。両脇にある蝋燭の灯りで何となく分かる程度の道。奥の道は殆ど暗くて見えなかった。
 そして今、彼らはその暗い道の真ん中にいた。2人には全く覚えのない場所。2人は寝転がっていた体制からとりあえず起き上がり、座って確認をする。








「三成、わかるか?」






 三成は黙って横に首を振る。勿論家康も分からない。何がどうなってここにいるのか、お父さんとお母さんはどこにいるのかも分かりはしなかった。
 段々と2人して怖くなり、2人はお互いの手を思わず握る。






「……こ、怖く……なんか……」
「ならばなぜ手をとるのだ……い、いえやす…」
「そ、それは……!」






 身体が自然と震えだし、仕舞いには互いを抱き合って暗い道を見る。
 地面は石の上のように冷たくゴツゴツしており、灯りは所々にある松明(たいまつ)のみ。たまに2人に向かって吹く風がとてつもなく冷たく、その寒さに耐えようと2人はギュッと暖を取るように抱きつく。だが、震えは止まりはしない。次第に目から涙が出てきてしまい、泣き叫んだ。






「もとちかぁ〜〜……!!」
「もとっ……ヒック…………もとちかぁ…!」






 この場にいない兄・元親の名を叫ぶ。それは洞窟状になっている暗い道に響きわたる。
 するとそれを聞いて2人に向かってくる足音があった。しかし、三成と家康は恐怖のあまり泣きじゃくり、その音は全く聞こえていない。

 早く誰か来て、誰か自分たちを助けて……そう言うかのように彼らは泣きじゃくった。
 そして──















「家康……三成…!?」






 2人の名前を呼んであげれば何故か落ち着く感じになり、三成と家康は一旦泣くのを止めた。そして暗い道に続く方を見てみると………そこに居たのは2人がまさに居て欲しいと思った人物がいた。






「もとちか………?」
「もとちか……!!」
「おう、俺だ。お前ら大丈夫か?!」







 元親は家康と三成の方へ急いで行き、元親が近付くと止まっていた涙が緩くなり、また泣き出した。元親が抱きしめてあげれば2人も抱きつき、離したくないというかのように元親の制服を力強く握りしめた。元親は優しく2人の背中をさすってあげてから同時に抱っこをした。
 元親の後から政宗も来て驚く。政宗が来た時には元親の腕の中には2人の子供がいたからだ。






「泣き声はコイツらだった、ってわけか。知り合いか?」
「いや、家康と三成は俺の双子の弟だ」
「マジかよ。つか、何でそいつらはここにいるんだ?」
「俺にも分かんねぇ………とりあえず今は家康と三成を落ち着かせた方が話が早ぇって思うが…」
「……まぁどこにいてもアイツらが来るか分からねーからここで落ち着かせろ。それが今はいいと思う」
『…………』







 幽霊元親は元親と政宗の話を聞きつつも気になる幼い子を見ていた。






『……家康……石田…か。やはり、お前さんらが兄弟って思うのは俺には無理みてぇだ。……せめて、別々の関係だったらと思っちまうよ』
「何ブツブツ言ってんだよ。アンタはここら見てくれよ」
『安心しろ、アイツ等は今ここらにいねぇからよ』







 そう言って幽霊元親は考える体勢になった。勿論、宙に浮きながら。元親は少しふてくされになりながらも家康と三成をあやした。

















『俺には、無理なんだよ。今のこの状態がよ』



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