3*7






 元親と政宗がとりあえず部屋に出てから歩いている間、元就と鶴もあの部屋から出ていって長い長い薄暗い廊下を歩いていた。
 あんなとこにいても嫌なことしか思い出さないからとりあえず他の場所に行かされたであろう元親と合流したほうがよいと考えたのだ。









「この場所から外に出れますよ?」
「阿呆。河野、貴様は何を見ておった。奴らは我らを銃で打ってきおった。今外に出れば奴らも外におる。故にまた銃で打つ可能性の方が高いと何故分からぬ」
「あ、なるほど!」










 鶴は納得したように両手の手のひらを合わせてパチンと音を出す。元就は反対に思わず大きなため息をつく。
 先程のような緑色に光るあの円状のもののことはお互いそれがたまたま出てきたものだと理解していたため、それは会話に出さないようにしていた。
 たまたまのレベルが違いすぎるなんてツッコミは言わないでくれ。







「……?」
「何をしておる」
「声が聞こえませんか?」
「知らぬ」
「もー!ちゃんと聞いてくださいよ!」








 自分の考えになかった行動をとるのは元就にとっては不愉快極まりないのだが、このときは微かだが確かに声が聞こえた。子供だろうかと疑うくらい甲高い声だ。
 鶴に無理矢理手を引っ張られ、元就の眉間にシワが寄っていたシワが更に濃くなる。至極不愉快なのだろうが、声が近付くに連れて段々と気になり始める。
 なにせ本当に子供の声だったからだ。








「この階段の下から聞こえますね」
「貴様の屋敷は迷路よな」
「言い返せません……」







 階段は灯りがないが、代わりに階段の出入り口付近に持って降りろと言わんばかりにランプが吊らされていた。
 元就が左に吊らされていたランプを持ち、鶴が右に吊らされていたランプを持つ。
 予想以上に階段は酷く暗くホコリっぽい空気が充満していた。マスクが欲しいところだが、この場所にマスク等ないと分かっているため、仕方なく腕で口と鼻を覆いながら行くことにした。








「………っ……………!…」
「何と言っているのでしょうか?」
「貴様が考えろ。この場所で息もしたくもない」
「それは私もですよ!ですが、こんな空気が汚い場所で子供がいるなんて酷すぎます…」
「…………」








 ここは貴様の家だろうと言いたかったが、この場所で喋ることも、ましてや息をしたくないと言った元就なので言うのをやめた。
 そうこうしていると元就と鶴は階段を降り終わっていた。地面を見れば何か鉄格子みたいなものが見えたため、元就はランプを少し前に出す。すると両側に鉄格子の向こう側だが、確かに子供2人いた。







「まぶしっ……」
「おおおおお!!!慶次殿、あの者達とは別の者たちが来てくれたでござるよ!」








 右にいるのは茶髪で細長く長い髪を結んでおり、おでこに長い赤い鉢巻を巻いている少年だ。その鉢巻は長すぎて結んでも地面についていた。
 左にいるのは同じく茶髪で、ポニーテールをしてるというのに座ってるせいでその髪は地面に付いていた。







「こやつらか」
「わっ!本当に子供だったんですね…」
「おおお!可愛い子もいるー!幸村、やったね!」
「うむ!!叫んだ甲斐があったでござる!」







 この2人は阿呆だ、元就の中でそれが成立していたことはこの子供たちには内緒だ。








「あの、名前を教えてもらってもよろしいですか?」
「おお!そうでござった!某、真田幸村と申しまする!」
「俺は慶次。前田慶次っていうんだ。よろしく!」



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