3*6






 話を戻そう。


 政宗と元親はとある部屋に入り、そこには元親にそっくりな銅像があった。だが、元親と違い、碇のような武器と変な服装。不思議に思った元親はふいにその銅像の持っている武器に触ってしまう。
 すると、元親の頭の中に自分とは違う記憶が入っていき、誰の記憶だ?と思った。その時、別の誰かが元親の頭の中で語りかけた。



『それは俺の記憶だ』



と。
 更にはその実体が今、政宗の後ろにふよふよと浮いているのだった。

 物語はここから始まる。
















「…………だ、誰なんだよ…」
「おい、元親。オレがいくらチビだからって顔の向き違う──」
「ちげぇって!政宗も後ろ見て見ろよ!」
「後ろだと?」








 政宗は元親が言ったとおりに後ろを振り向くと、そこにいたのはこの部屋に置いている銅像の人物がふよふよと浮いていた。政宗は一度眼帯をしていない左目を擦るが、やはりそこには身体が透き通っている銅像の人物だった。






『おいおい、そんなに驚くこたぁねぇだろ。ここの屋敷には俺みたいな存在は何人かいるんだからよ』
「ど、どういうこった」
『どういうこったって、アンタが一番知ってると思うがなぁ。昔はよく話してたじゃねぇか』
「昔だと……?」







 元親は頭の記憶の中をぐるりと探すように唸った。その間、政宗が元親の代わりに銅像の人物と話した。







「あんたみたいなのがこの屋敷の中にいるのか?」
『あぁ。独眼竜、アンタもいるぜ?』
「What!?オレもいるってどういうことだ!?つか、何であんたがオレの異名を知ってるんだよ?!」
『ここの世でも独眼竜って呼ばれてんのか。ハハッ、世の中どうなってんのか分からねぇもんだなぁ』







 ここの世でもってどういうことだ……?
 銅像の人物が何を言っているのか分からなくなる政宗はただただ笑っているその人物を見つめることしか出来なかった。
 すると、銅像の人物がまた語り出す。






『俺が知っている限りで話すと、俺は戦国の世を生きた長曾我部元親なんだ』
「は……?戦国の世…………?元親だと……?」







 急にぶっ飛んだ話を持ちかけられ更に分からなくなる。自分が元親と言った者はまた話を続ける。






『だが、アンタらとは別の人物だ。名前が一緒なだけだ。俺らみたいな奴は全員、”ある武器”に宿る小さな魂。用は武器に宿った幽霊なんだよ』
「武器……?」







 ふと思い当たることがあり、政宗は後ろにある銅像に振り向く。その銅像は碇のような武器を持っているのだ。しかし、幽霊の元親は服装はまるっきり銅像の格好だが、肝心の武器を持っていなかったのだ。







「武器ってアレか?」
『ありゃあただの石だ。武器は今頭抱えているやつが首にぶら下げているはずだ。じゃなきゃ、俺はここにいねぇからな』







 あんなデカい物をどうやって首にぶら下げるのか、些か疑問に思ったが、政宗は頭を抱えて何かを思い出そうとしてしゃがんでいる元親の元に行った。






「Hey元親。首を見せろ」
「あ?何だよ、急に。俺は今あの幽霊のことを思い出そうと───」
「いいから見せろ」
「うわっ!」







 子供の姿だと言うのに、あまりに力強く首もとを引っ張られた元親は体制を崩しそうになり、ふいに地面に右手を置いて政宗に倒れないようにした。
 元親の襟のボタンは元々開けられていたため、首もとはすぐに見えた。その首には一つのアクセサリーが飾られていた。その形は、あの銅像の地面に突き刺さっている碇の形をした部分を小さくしたような物だった。







「これか?」
『おう、それだぜ』
「何だよ、このアクセサリーがどうかしたか?」







 どうやら元親はこのアクセサリーがどのようなものなのか知らないらしい。
 だが、何故このアクセサリーがこの幽霊元親がここにいる理由なのだろうか、と政宗は思った。何故なら、今の今までこの幽霊元親は政宗たちの前に現れなかった。何故今になって現れたのか不思議に思ったのだ。







「このアクセサリー、お前はずっと持っていたのか?」
「あ、あぁ。ずっと首にかけてたぜ」
「それを付けてて今までコイツに会ったことはあるのか?」
「いや……何だよ、急に」







 政宗は元親の襟を持ったまま、幽霊元親の方を見れば空中で胡座をかいて上から見られていた。







「ずっと付けてたって言うのに、何であんたは今出てきた?さっき歩いているときにでも出てきたらよかっただろ」
『……………』







 幽霊元親は面白くないといった顔をしたが、突如フッと笑った。何が面白いのか分からない政宗は眉を潜めた。







『さすがは独眼竜ってとこだな。目を付けるところがちげぇ』
「もったいぶってねーでさっさと答えろ」
『それは今は言えねぇ。それより、さっさとこの部屋から出た方がいいぜ』
「何でだよ」
『感だ、感』
「適当だなぁ……」







 だが、ここにいても何も始まらないと政宗と元親は思い、幽霊元親の銅像がある部屋から出て行くことにした。







『あぁ、俺も着いていくからよろしくなー』
「「マジで」」



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