3*5
ドドドドドッ
バンッバンッ
ドドドドドッ
バンッバンッバンッ
幾方向から銃声が聞こえる。マシンガンの音も聞こえ、撃たれた場所からは白い煙がたっていた。止まない銃声音。止まらない銃声音。
いつまでも続くと思ったそれは急にしん…と静かになった。
撃たれた本人はどうなったのだろうか。男は不適に笑みを浮かべながら彼らがいた部屋に近付く。部屋は扉が閉まっていたあとがあったが、その扉は銃を持った男達とは逆に脆く儚く倒れていた。
しかし、その扉の先には何やら緑に光る大きな何かが佇んでいた。少し煙がたっているせいでよく見えなかったが、しばらくすると、それが正体を現した。
「………ほぉ、流石は力を持つだけはある」
クククッと目を開きながら黒髪は笑う。
そこにあったのは、丸い円盤の形をした緑色に光る壁だった。その向こう側に元就と座り込んでいる鶴がいた。
だが、元就の右手に付いているアクセサリーから光の壁と同じように光っており、元就の右手はまるでその光の壁を出したかのような構えをしていた。元就自身何が起こったのか分からない、というかのような訝しげな顔をしていた。黒髪はそれを見てただただ嗤う。
「初めてにしては上手く出来たな」
「…………何がだ…」
未だに嗤っている黒髪に苛ついた元就は眉間に皺を寄せる。
「その力はそういう風に使うのか。なかなかに興味深い。何せ攻撃にしか使わないとばかり思っていたからな」
光の壁は元就の前から消えており、アクセサリーからも光が消えていた。それと同時に、まるで操られてたかの如く、元就の手もぶらりと手が下がった。
黒髪は光の壁がやっと消えたところで元就の前に立ち、元就の右手を取ったが、元就がそれを許さなかった。
「痛ぇな」
「…………」
黒髪に睨まれたところで屈する元就ではない。むしろ睨み返すのが元就だ。
「………まぁいい。”それ”が言うことを聞くことはまずないからな。それまで貴様は────」
「……………」
傍で座っている鶴には聞こえないように黒髪は元就の耳元で囁く。その言葉を聞いた途端に元就の眉は訝しげに潜めた。
黒髪はゆっくりと耳元から離れ、銃を持った男たちに合図すると男たちは元来た道を歩いてその場を離れていった。黒髪も一度元就たちを見てからその場を後にした。銃弾を受けて脆く倒れた扉を踏みつけられ、ギシリと悲鳴を上げた。
鶴は黒髪たちがいなくなったのを確認した後、すぐさま立ち上がって元就に話しかける。
「元就さん、大丈………夫……」
大丈夫ですか、そう言おうと思っていた鶴だが、元就を纏う黒い何かに少しビクついた。
一方、元就は先程黒髪に言われた言葉が頭に響いており、腹立てていた。
『貴様は私の駒だ』
駒、だと?我が?
フフッと笑うが、それは歓喜の笑いではない。鶴は感づいてこう思った。
あぁ、怒り狂っている、と。
『ほう、あの黒い髪の長い男よりは観察しがいがある。いきなし我の力を使うとは思わなかったが、まぁよい。しばし、様子を見るとしようぞ』
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Uターンすっか?
こちらが嫌でしたら
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