2*5
その頃、元親は別の牢屋で眠っていた。それを起こそうと誰かが元親を呼んでいた。
「……………い………おき……」
あー、家康と三成今頃帰っておやつ欲しがってっかな。帰ってきたらダブル「遅い」攻撃が始まっちまう。早く帰らねえとなぁ……
「おい……………きろ……」
その後は母ちゃんと親父の説教かな。んで、このことを言わねぇとなんねぇな。何で今日に限ってこんなことになるんだよ………
つーか、さっきから誰が俺を呼んでるんだ?家康………三成……?
「起きろって言ってるだろ」
「んー……待てって…今から買いに行ってくるから………」
「いい加減にしろ」
「いでっ」
的確に俺の頭に何かをぶつけてきた。かなり痛い。
身体を起きあがらせ、目を覚ます。寝てたのか、俺。痛む頭を手で押さえながら目を開けると、床から天井まで冷たいコンクリートで埋め尽くされている部屋にいた。
「やっと起きたか」
左の方向から声が聞こえた。その方向を向いてみる。
そして、俺は驚いた。鉄格子の向こう側に小さい子供が1人、身体は白い布で覆い尽くされた状態でいたのだ。
家康と三成ぐらいだろうか。黒髪は何考えてやがるんだ……
「なんで……こんな牢に子供が……」
「Goodmorning。あとガキ言うな」
俺はガキの所に行こうと動くが、俺も鉄格子の中にいたことに驚く。
そうだ、俺、穴に落とされて元就とは別の穴に行ったんだっけ。………元就はどこだ?
「なぁ、もう1人誰か落ちてこなかったか?」
「おいおい、アンタの周りを見ろよ。アンタ以外、誰もいないだろ」
「そ………そうか……」
別の場所にいるのか。まぁ、ヘマはしねぇやつだし……大丈夫だよな。そう信じるしかなかった。
それにしても、俺、どっから落ちたんだ?ふとそう思ったため周りを見渡す。すると、上に大きな穴があった。
「こっから落ちたのか。元就も同じようなことになってたりしてな」
何だか笑えた。元就が穴に落ちるだなんて珍しいからなぁ、と呑気なことを考える。
「アンタのダチもここにいるのか?」
「まぁな。どこに行ったのやら…………チビもか?」
「チビじゃねぇって言ってるだろ!!訳あってこんな姿になってるが、俺は15だ!」
15………高校一年!?俺より一つ下………?
「…………っぶふ……」
「笑うんじゃねぇ!!!」
思わず笑ってしまう。こんなチビが何で一つ下なのか。
「そういや、名前まだだったな。俺は長曾我部元親だ。アンタは何て名前だ?」
「俺は伊達政宗だ。俺もアンタと同じでダチ2人と共にここに来た途端にこの牢屋入りだ」
「そうか……アンタもダチと…………伊達」
「政宗でいいぜ。アンタのことも元親って呼ぶ。長曾我部なんざ長ったらしいしな」
クツクツと政宗は笑う。俺も同感して笑う。コイツとは良いダチになれそうな気がして少し嬉しかったりした。
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