2*3









 鶴が部屋にいるころ、彼らは牢屋にいた。しかし、同じ部屋ではなかった。
 彼らは穴に落とされた後、奥にもう2つ別れた穴に1人ずつ入ってしまったのだ。その2つの穴はどちらも牢屋に繋がっていたらしい。








「………………っ……」








 ここは………?


 僅かばかりの火の灯り、鉄格子、暗闇……まるで牢屋のような場所。
 上を見渡せば火の灯りで何とか見える程度に穴がある。







「どこぞ…」








 思考が思うように動かぬ。まさかあのような場所に落とし穴があるとは…。饅頭のせいであのような策を見破れなかったとは、愚劣。
 長曾我部は………いないということは、違う場所に移されたか、落とされたかのどちら、か。

 どちらにせよ、我には関係ないことぞ。








「………餅饅頭」







 長曾我部から受け取ってやった餅饅頭苺ver.を持っていたことに気付き捜す。
 しかし、あったのは袋に入った1つの餅饅頭だけ。荷物も近くになし。………奴らが持って行ったと考えてよいか。




 コツコツ………




 足音が聞こえる。奴らが見回りにでも来たか。餅饅頭は懐に隠し、壁沿いに座った。
 徐々に大きくなる足音。そして、その足音の正体は我の思うとおりの奴。








「目が覚めたか」
「……………」








 黒髪、と数人の部下……と呼ぶべきか。我を見下してニヤケる。腹立たしい………。過去にあった図書室の時と同じようにやりおって。








「お前のお友達はまだ目を覚まさないが、お前だけでもいいか。出ろ」








 奴の部下の1人が牢屋の鍵を開ける。その間に黒髪は話を続ける。







「お前ともう1人、紫の眼帯のやつには俺らの『実験』に付き合ってもらう。あぁ、姫御前は安心しろ。アイツはまだ『実験』しない。何せまだ”力”が足りてない」







 クツクツと笑う。”力”とは何ぞ?『実験』とは………我を捨て駒にするか。
 牢屋から出され、引っ張られるが、腹立たしさ故に手を突き放す。今でもここから抜け出したいが、相手は複数。どこぞの不良と違い、ボディーガード。さらにはこの家の構図が分からぬ故、出口を見つけることが困難。
 …………無闇に動いては無駄な体力を使うか。










「我をどこに連れて行くか言え。さすれば大人しくついて行ってやろうぞ」
「お前に何が分かる?…………まぁいい。今から行くとこはお前に最適な部屋だ。ククッ」
「……………」








 策にのるのもまた策士、か。よかろう。


 貴様の策、使わさせてもらおうぞ。






Uターンすっか?
こちらが嫌でしたら
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