long story

証するということ



雷門中に転入して、ある日学校でプリントが配られた。
内容はよく見ていなかったが、「保護者のサインをもらってくること」と担任が言ってた。
中学にあがってもこんなものがあるのかと驚いた。
自分には正式な保護者は居ない筈。

この紙どうしよ。と帰り道に悩む。
取り敢えず瞳子さんに渡しておこう。

園に帰って、マサキにぃちゃんおかえりーと集るちびを軽く流し、はいこれ。と瞳子さんに手渡す。俺の気の所為か、プリントを眺める瞳子さんの口角は少し上がっていた気がする。
「分かったわ。明日の朝に忘れずに渡すわ」とプリント越しに言われる。


悩んだ。俺の保護者は誰なのか悩んだ。やはり瞳子さんなのだろうか。
いくら悩んでも、答えは出なかった。自分の中できっと瞳子さんであるだろうと思いつつ、その日は寝た。


「はい、これ昨日の」
とプリントが渡される。目は通さず即座に鞄に詰め込む。
いってきますとドアを開けて登校する。
その日はいつも以上に隣にいるピンク髪の話を聴く気になれなかった。
どうした狩屋と聞かれても反射的になんでもないですと答えていた。

何時の間にかホームルームに着いていた。チャイムが鳴る。プリントを提出しろとクラスが促される。ぼぉーっとしていた俺は我に帰り、慌ててプリントを出す。
あっ、と落とすと葵ちゃんが拾ってくれていた。そして首を傾げて聞いてきた。



「どうして狩屋くんの保護者の名前が『吉良ヒロト』なの?」



え?何言ってるのと耳を疑う。瞳子さんじゃななかったの?
ねぇ、聞いてるの?と肩を叩かれ見開いていた目を少し窄めた。
あぁ、ごめんね、気にしないでと笑って誤魔化す。


その日は仮病を使って早退した。









「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -