memo
3周年記念


私の病みポエムどうぞ。

風船

彼と出会って2ヶ月と5日。
彼と会って2週間。
東京。
祖母の部屋で一人暗い部屋で泣いた。
不安で不安で堪らなかった。
何かに怯え、何かに絆され、何かにものすごく疲れていた。


果たしてこれは愛だったのか
それともこれは単純に恋だったのか。
いや、自分の思い違いだったろうか。
若気の至りだったろうか。

自分には知り得ない相手の心情を読み解こうとした自分が愚かだった。
愚かなのは自分だった。
別れを告げた彼を恨んだ。
新しく手に入れたのは、脆い愛情だった。

他の人間に触れるその手が、
他の人間を見つめるその目が、
他の人間に囁くその声が、
凄まじく愛しく、そして何より、忌々しかった。

嫉妬の果てには何もない。
嫉妬は汚い。
自暴自棄になるのも無理はないと思った。
自意識過剰になった。
眠るのが億劫になった。
言葉を慎む事を覚えた。
深く干渉するべきではない事を学んだ。
「怒ってるの?」「今日機嫌悪い?」
「本当に私でよかったの?」
「私のどこが好き?私には何がいいのか分からないな」
タブーを知った。恥を知った。
何も知らない私に手取り足取り全てを教えてほしかった。

見えない壁に苛まれ、眠る事さえ困難で、声が聞ければそれが全て。
目をみて話す事も、その白く滑らかな手に触れる事も、この耳に愛が直接囁かれる事ももうないだろう。

臆病者は確信した。
長くはない。
出来る限りのことをしようと思った。
自分の限界に挑もうと決心をした。

夜な夜な一人で泣く事に疲れた。
自分は一人で生きて行けない事を痛感した。
自分がどれだけ惨めで、虚しくて、小さな存在なのかと。
きっと私が死んでも世界はびくともしないだろう。
世界は変わらない。それは決定事項である。
私が死んだ時に彼は悲しんでくれるのだろうか?
それとも、それとも…なんだろう?
笑うのか?泣くのか?素知らぬ顔をするのか?
誰かの虚偽を証明するのは難しい。
自分の潔白すら証明出来ない人間という愚かな生き物は未だに嘘を吐き続け生きている。

「お前の帰る場所は俺の隣だから」
「お前は俺ので、俺はお前のだろ」
「好きだよ」
「大好き」
「愛してる」

こう並べてみれば胡散臭い事この上ない。
ましてや、赤の他人とも呼べる人間の発言だ。
信憑性のカケラもない。
だが私は一度信じてみようと思った。
否、私はその言葉に甘んじたのだ。
「好きです。俺と付合ってくれますか」
それが全ての始まりで終わりだったのかもしれない。
自分は間違った選択をしただろうか。
いや、そんなはずはない。
自分の踏み入れた事のない領域に入っただけである。
道はない。見えるのは自分が歩いて来た足跡だけ。
それすら霞んで見える。

もう何も言えない。
自分の事を棚に上げていた。
自分は彼の事をちきんと想えているのだろうか
自信がない
「好きだよ」
「大好きです」
ほらみろ、自分だって胡散臭い。

言葉はもろい。
吐き出され、利用され、忘れられる。
意味を持たない物が殆どだろう。
言葉に意味を見出す者は愚かだろう。
言葉にとらわれ、惑わされ、そして挙げ句の果てに何も信じれなくなる。
言葉はいかに功名に操るかだと私は思う。

地獄の沙汰も金次第。偉い人がそんな事を言っていた気がする。
強ち間違っていないのでは?
盲目的に恋をする。
目隠しをしたまま綱渡りをしているようなものだと思う。
一歩踏み間違えれば落ちる、先も見えない、この先どれだけ自分が進めばいいかも分からない。
でも、落ちた先、若しくは終わりと呼ばれる場所に、誰かがいて自分を支えようと声を掛けようなら、きっと綱渡りも苦ではなくなるだろう。
天の声も悪魔の囁きに早変わり。
彼の一言が無ければ私が彼の事で嘆く事も、彼の言動に心打たれる事もなかっただろう。
いつしか彼の天の声も悪魔の囁きに変わり、私の心を鈍らせて行く。
分かりきった結末を暖める。

安っぽい言葉に甘んじて、楽園を夢見た。
温もりと、優しさと、愛しさを求めた。
触れるべきではなかった。
知り合うべきではなかった。
出会わなきゃよかった。

私はまた繰り返す。
妬み、嫉み、恨み、憎む。
そして記憶をどこか遠くへ放り投げる。
終わりの無い深みへようこそ。

所詮こんなもん
そう片付けられたらいいな。
きっと私の事だから嘆きに嘆いて、眠れなくなるんだろうな
きっと彼の事だからちょっと泣いて、何も無かった事にするんだろうな
きっと私の事だから未練がましくずっと引き摺るんだろうな
きっと彼の事だからちょっと病んで、笑って忘れるんだろうな
きっと私たちの事だから悲惨なお別れなんだろうな。






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