×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




似合いの二人 - 01



「髪立ってない切島くんだ、何してるの?勉強?」
「髪立ってない切島くんってなんだよ」
「珍しいから……」

珍しいからってからかっていいのか――と思ったが、至っていつも通りの様子であったので、からかったつもりはないのかも。これが上鳴や瀬呂あたりだったらもうちょっと厳しく言っただろうが、相手は黒髪を濡らした女子であったので、それはちょっと気が引けた。

幽姫は風呂上がりだったらしい。首にかけたタオルで毛先の水気を取りながら、切島に対面するソファに座る。別に気になってる女子でもなければ、なんなら友人の恋人であることも理解しているので、いつもより血色の良い肌をジロジロ見るわけにもいかず、視線をテーブルの上のテキストに戻した。
まだ夏休みが終わったばかりで暑いとはいえ、ショートパンツのルームウェアでうろつくのは、彼に叱られないのだろうか。どちらかといえば嫉妬深そうな方だと思うのだけど。

「課題だよ課題。インターン行ってるだろ、その補完」
「ああ大変だね〜がんばれ。けど、なんで部屋でしてないの?」
「いやぁ、ちょっと難し……ってか、ウン、爆豪に教えてもらおっかなと」

元々勉強についてはどちらかというと下の方――どうしようもないって程ではないと思っているが――だし、さらに最近は気にかかることが多くて授業に身が入らないことがある。それが積もって、相澤から言い渡された課題がなかなか終わらない。
結果、泣きつくというか頼み込む先は、一学期の期末テスト前に世話になった爆豪となった。

「爆豪くん、この時間はロードワーク出てるよ」
「あーそれでか!部屋行っていなかったし、メールも返ってこねぇから、出待ち……いや、来待ち?」

あるいは爆豪以外の頭いい勢が通りがからないかという期待。しかし結局通りがかったのは今のところ、幽姫くらいのものだった。

「なるほど〜。多分、もうすぐ帰ってくると思う」
「そうか……よく知ってんな」
「ふふ〜」

幽姫はどことなく嬉しそうに笑った。はいはい、うまくいってるようで何より。

「そーだ、じゃあ私も教えてもらおうかなぁ。数学苦手なの」
「あー、そうだったな。いいんじゃね?」

彼女に限って、爆豪が拒否することもないだろう。
じゃあ教科書とノートとってくる、と幽姫は席を立った。ついでに髪乾かせよ、と言えば、ああ忘れてた〜と返ってくる。それは女子としてどうなんだ、とちょっと思った。

それにしても、三人で勉強会か。なんだか、三ヶ月前のことを思い出させる。
先述の通り、一学期末の試験に向けて、幽姫と切島は揃って爆豪の世話になったのだ。



前<<|>>次

[1/5]

>>Request
>>Top