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Time1
階段を駆け下りると既に下で俺が起きるのを待っていた母さんの姿があった。
こりゃどのみち二度寝なんかできる状態じゃなかったな。
「あら、やっと起きたのね。今日はあれを見に行くんでしょ?ほら、あの幼なじみの発明品。誰だったかしら…母さんど忘れしちゃったわ。」
おいおい忘れんなよ…。
仮にも幼馴染の名前忘れるってどうなんだ。
変なとこでうっかりする母さんに呆れながら頭を掻いた。
「ルッカだよルッカ。」
「あぁそうだったわね。じゃあ気をつけて行くのよ。」
「母さん、小遣いは?」
「あぁそうそう。はい、200G。」
「…。」
「そんな目で見たってお小遣は増えないわよ。」
「ちぇっ。」
どうやら母さんにはお見通しらしい。
俺が悔しそうにするのを見てふふっと楽しそうに笑う母さんに、余計悔しくなった。
仕方ない。
200Gだけで我慢するか。
「んじゃあ行ってきます。」
「行ってらっしゃい。暗くなる前には帰ってくるのよ。」
「母さん、俺もう17歳なんだけど…。」
しかも男だし。
場所なんて家の目の前だと言っていいくらいすぐそこだし。
いつまで俺をガキ扱いすんだよ…。
まぁいいか。
飼っているネコの頭を軽く撫で、俺はドアを開けて千年祭へと向かった。
玄関先から既にざわざわとした人の流れが分かる。
よぉーーし思いっ切り楽しんでやるぞ!!