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Time1
今まで小さかったその円形の物が、いきなり大きくなった。人が何人か入れそうな程だ。
『うっわぁーでっかー…!』
中を覗き込むと、思わず目をこすりたくなるのようなわけの分からない空間になっていた。
色んな色が混ざって、綺麗なのか綺麗じゃないのか…どっちとも取れない不思議な感じがする。
でもこれじゃあ余計に通れなくな……
『ってあれ?何か体が吸い込まれてるような…』
触れていた手から、その大きくなった円形の物に体が引き込まれるような感覚になった。
気のせいだと思いたいが、体が勝手に動いて…というかやっぱり吸い込まれてる!!
『うわうわうわうわ!!』
吸い込まれる…!
引き込まれる…!
いよいよ怖くなった私は手を思いっ切り伸ばして、来るはずのない助けを必死に求めた。
ぎゃああぁぁぁ…!!
そんな伸ばした手も叫びも虚しく、私はすっかりその謎の空間に飲み込まれてしまった。