3-5

Time3





だが勇気があるのはクロノだけではなかった。




「面白そうね、私もやる!」


「へ?」




もう一人、その実験台に立候補した人がいたのだ。

そう、さっき友達になったマールである。


あんたら凄いなおい。




『ま、マール。マジでやんの?』


「もちろん!だって楽しそうじゃない!」




そう言う本人は確かに楽しそうだった。

こりゃ私以上に好奇心が旺盛だな。
いやなんかおてんば、って感じ。





「ちょ、ちょっとクロノ。あんたいつの間に、こんなカワイイ子達口説いたのよ。」



ルッカが眼鏡を掛け直しながらクロノに詰め寄った。




「いや…別に口説いた訳じゃ…」



「ね、いいでしょクロノ、鈴乃? ここで待ってて。どこにも行っちゃやだよ!」




くっそ…可愛いなマール

どこにも行かないよ私!!
ここで待ってるよ私!




「さあさあ、挑戦するのは何とこんなにカワイらしい娘サンだ!ささ、どーぞこちらへ!」



「エヘヘ。じゃ、ちょっと行ってくるね!」



おじさんに促され、マールはクロノと同じように左側のポッドに乗った。




「大丈夫かい?やめるんだったら今のうちだぜ。」

「へっちゃらだよ!全然怖くなんかないもん。」



おじさんの最後の忠告にも笑顔でそう答えるマール。


あんた将来大物になるよ。




「それでは皆さん!このカワイイ娘サンが見事消えましたら、拍手喝采。」




周りの人も興味深々、というように見入っていた。



『クロノ…だ、大丈夫だよね…?』



何かもやもやとする感じが心の底に現れるのを抑えながら、クロノにそっと尋ねた。



「大丈夫だろ。俺ん時成功したし。」


『うん…。そうなんだけど…。』


「どうかしたのか?」


『ううん…何でもない。』




そう首を横に振るとクロノは不思議そうに私を見つめていたが、それ以上は何も言わず、目線をポッドへと戻した。



大丈夫だよ、ね…。



マールが左側のポッドに乗った瞬間、クロノの時とは別の不安が現れた。
それが何かは分からなかったけど。





「スイッチオン!」


「エネルギー充填開始!」



そうこうしてる内にまたさっきと同じ作業が始まった。






が、今度は中々マールが消えない。

クロノの時には割と早くパッと消えたのに…。



嫌な予感は募るばかり。




するとマールのペンダントが急に光を放ち出した。



「何これ?ペンダントが……。」




いきなり輝き出したペンダントを見て状況が普通ではないと判断したマールは、表情がどんどんと不安そうな色へと変わっていく。




と、その時!




ビリビリッ!!!




「えッ!?」




急に機械から大きな電流が走り、ルッカが驚いてポッドから跳ね退く。



その場にいた全員も突然の出来事にざわつき始めていた。



「ど、どうしたんだ一体…」



クロノも異常な雰囲気に顔をしかめる。




『っあ…!!!あれは…!!』




電流の次に現れたのは、いつか私が見たのと同じような…いや全く同じ青色の円形の空間だった。



まずい!
このままじゃマールが…!





そう思った時には体が勝手に走り出していた。








マールッ!!!








私の叫びは、その謎の空間と共に吸い込まれていった。








「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -