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Time2
***
『あー美味しかった。それよりそろそろ発明品の準備終わったかな?』
「結構時間経つし、さすがにもう…」
そうしてさっきの場所を見ると。
『まだ準備中!?』
いくら何でも長過ぎでしょそれは!
「マジかよ。公開する直前に失敗でもしたか?」
『じゃあまた他のから見る?』
「そうするしか無いな。」
そう言って私達は、今度は下のエリアへ行くことにした。
それよりも、私はさっきから一つの大きな疑問が思い浮かんで仕方がなかった。
これは、本当に"夢"?
さっきから、一つ一つの感覚がリアル過ぎる。
歌を歌ってクロノに頭を叩かれた時も、お弁当を食べた時も。
聞こえてくる音や痛み、味だってしっかり分かった。
だとすると、これは"夢"じゃない…?
じゃあこれが現実?
でもどう見たってここは私の知ってる世界じゃない。
今時こんな格好して武器持ったりしてる人なんていないはずだ。
でもあんなロボットがいるってことは…。
「鈴乃?」
第一、見た目は何か一昔っぽいのにあんなロボットを作れるような技術は一体どこにあるの?
「おーい。」
いや待てよ…。
お祭りって言ってたし、わざとこういう格好を…
「鈴乃!!」
『うわあっ!!?』
びっくりした。
「何回か呼んだのに全然気付かないから。何かあったのか?」
そう言って心配そうに私を見つめるクロノ。
ダメだ。
こんなことでクロノに心配かけちゃ。
それに考えれば考える程分かんなくなってきちゃった。
こんなん考えるくらいなら今は思いっ切り楽しんじゃえ!
そうだ楽しんだ者勝ちだ!
『ううん、何でもないよ。さぁ次は何見る?』
私がそう言うと、クロノはまだふに落ちないような顔をしていたが、私が何も言わないので、クロノも何も聞いてこなかった。
するとベンチに座っている男の子が、私の服の裾を引っ張ってきた。
『ん?』
「ねぇお姉ちゃん。知ってる?エヘヘ、ボク知ってるよ。何びゃく年か昔、魔王軍とすごい戦いがあったんだって。もしその戦いに負けてたら今こんなお祭りはなかったってうちのママが言ってたよ。」
ま、魔王…!?
ち、厨二病くせぇ…!!
『ちょっと君?厨二病になるのは少し早いんじゃ…』
「あーそれ俺も聞いたことある。」
『えぇっ!!クロノ、まさかの厨二病…。』
すると、近くにいたおばあさんまでもがこんなことを言い出した。
「思い返せばこの国にも色々な事があったからねえ……。400年くらい前の魔王軍との戦いとかさ。
あんたも今の平和に感謝しなよ。」
マジですか。
こんなおばあさんにまで言われたら、ちょっと冗談に聞こえなくなってきた。
すると、次は噴水の所に腰掛けている女の子が話かけてきた。
「ここはリーネ広場。リーネの鐘の音を聞けばしあわせになれるって言い伝えがありまちゅ。」
"幸せ"?
それはぜひとも鐘の音を聞かねば!!
『クロノ!今すぐ鐘の音聞きに行くよ!』
「えっ!?うわっ!!」
確かさっきの所にそれらしき鐘があったはず。
私はクロノを半ば強引に引っ張りながら階段を上がって行った。