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Time2
***
で、来たわけですが。
「まだ準備中です。」
「もう暫くお待ち下さい」
そのルッカの発明品はまだ準備中らしい。
階段の前に関係者の人らしき人が二人並んで通してくれなかった。
どうでもいいけどこの人たちの格好なんかスタイリッシュだな。
『あらら、準備中だってさ。』
「みたいだな。だったらやっぱり他のから見に行くか。」
『うん、そうだね。』
うーん…それにしてもこの夢長いな。
そろそろ起きなきゃ今度こそ本当に遅刻しちゃうぞ?
まぁ夢の中でこんなこと考えるのも変な話だけど。
その時、どこからか女の子の泣き声が聞こえた。
「うえぇん!うえぇん!」
私とクロノは顔を見合わせ、泣き声のする方へ行ってみた。
「あの子じゃないか?」
クロノの目線を辿ると、頭にリボンを付けた小さな女の子が泣いているのが見える。
私達はその子に近寄り、話しかけた。
『どうしたの?』
「ぐすっ…わたちのネコちゃんがいなくなっちゃったの…っ。うえぇん!」
「それはお前がちゃんと見てなかっただけで自業自t」
ドカッ!
私はクロノの足を思いっ切り蹴ってやった。
「いってぇ…!」
『大丈夫、私達がそのネコちゃんを捜してあげる。だから泣かないで?』
「ぐすっ…うんっ…。」
***
「何でこんなこと…」
『はいはい文句言わない。いいことしたら後々自分にもいいことが起こるよ。』
「しかもお前、人の足蹴りやがって。」
『だってクロノが自業自得とか言いそうだったし。』
「だからって蹴るこたねぇだろ。」
『ごめんごめん。…さて、捜しますかな。』
「つーかそのネコの特徴とか全然知らねぇじゃん。」
『あ。』
しまった。
聞き忘れた。
「はぁ…ったく。」
『く、クロノだって忘れてたくせに!』
「俺その時足の痛みと闘っててそれどころじゃなかったし。誰かさんに蹴られたせいで。」
『だ、だからごめんって…あ!見てクロノ!』
「何だよ。」
私が今指さしている方向。
そこには一匹のネコが。
『あの子が探してるのってあのネコかな?』
「こんな簡単に見つかるもんなのか?でもまぁそのネコの可能性は高いだろうな。」
『これってそっと行った方がいいのかな?』
「いいだろ別に。」
そう言うと、クロノはすたすたとネコに近付いた。
『えぇっ。でも怖がって逃げちゃうんじゃ…』
「ニャー」
しかしネコは怖がって逃げるどころか、近付いたクロノに懐いて擦り寄っている。
そしてクロノがそのネコを抱き上げた。
その動きがどうも素人とは思えない。
『あれ?クロノ、ネコに慣れてる?』
「まぁ俺もネコ飼ってるしな。」
『なるほど。』
「こいつかは分かんねーけど、とりあえずさっきの女の子の所に行ってみようぜ。」