2-1
Time2
「…で。鈴乃は一体何してたんだ?」
『え。何してたって…』
「何かキョロキョロしてたけど、探し物?」
『いや、探し物って訳じゃ…でも探し物と言ってもいいというか何というか』
「どっちだよ。」
いやいや。
マジで分からん。
不思議そうに見ているクロノさんに、私も同じ顔で首を傾げる。
まぁまずは…
『ここどこ?』
「は?」
『ここはどこ?』
「何、お前記憶喪失?」
『違うわ!何かいきなり変な空間に吸い込まれて、見たことない所に来ちゃったの。それがここって訳。』
「えらく軽いな。ここはガルディア王国のトルース町。今日は王国ができて1000年経つんだ。だから見ての通り、今は千年祭をやってる。」
『がるでぃあ…とるうす…千年…祭…』
心の底から意味不明。
そんなところ聞いたこともない。名前からして外国?
こんなことなら地理をしっかり勉強しておくんだった。
まさかこんなとこで学力が問われるとは…。
「本気で分かってないみたいだな。」
『だって本当に分かんないし。がるでぃあとかどこだよ。…まぁいいや。』
「いいのかよ!」
だってどうせこれってよくある夢オチでしょ?じゃないと有り得ないもん。
お。
ということは、あの遅刻も夢?
よっしゃ!!内申下がらなくて済んだ!
これが全て夢だと思った瞬間、何だか一気に気が楽になった。
さっきまでの焦りと不安はどこへ行ったのだろうか。
「さっきから何無言でガッツポーズしてんだ…」
『あ、見えた?』
「いや、思いっきり目の前だから。」
というかどうせ夢なら楽しもう。
丁度お祭りはやってるし、目の前にはカッコイイ男の子までいる。言うことなしじゃん。
そう思った私はくるりとクロノさんの方へ振り返る。
『てわけで、クロノさん。一緒にお祭りを見て回ろうよ。』
「は?何で俺が…」
『仕方ないなぁ…じゃあ"はい"か"YES"で答えてね。』
「選択肢ねーじゃん。ま、いいけどさ!」
『やった!じゃあクロノさん、何から見る?』
「俺のことはクロノでいいよ。俺も鈴乃って呼んでるし。」
『うん、分かった。』
別に夢だし、すぐにバイバイなんだけどね。
まぁ夢の中のお友達ってことで。
しっかり青春して気持ち良く目覚めよう!