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Time1
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落ち着け鈴乃。
よく考えるんだ鈴乃。
今に至るまで、一体何があった…?!
確か学校に遅刻しそうで近道通ってたら、変なやつ見つけて…。
それに触れたら何かでっかくなって吸い込まれて…。
そんで着いた所は見知らぬ賑やかな所。
『あ、ダメだ。全然分からん。』
頭の中でいくら整理しても何がどうなってこうなったのかが全く分からず、チーンと音が聞こえそうな状況になっていた私。
その時、ふと知らない男の人の声が聞こえた。
「何やってるんだ?」
その声に振り返ってみると、そこには何ともクオリティの高い男の人が。
髪すげぇ…!
赤色でツンツンで鉢巻きで…!
何か熱血漢っぽいな。
そして今風とは思えない服装。
…って剣持ってる────!
怖いわ!!
「おい。」
『ひぃっ!す、すいません。えっと何してたかと言いますと……何してたんでしょう?』
「いや俺に聞くなよ。何か様子が変だったからどうかしたのかと思って。」
『えっ…私そんなに挙動不審に見えてました?』
「挙動不審っつーか…まぁいいや。お前、名前は?」
『あ、えっと鈴乃です。』
「鈴乃か。俺はクロノ、宜しくな。」
『あ、あぁはい。宜しくお願いします、クロノさん。』
何が宜しくなんだろうかって一瞬思ったけど沢山沸いて来る疑問に、それは掻き消された。
いつの間にかしっかりと交わされた握手に、強いぬくもりを感じ、不思議だけど何だか少し安心できたような気がする。
だが私はこの時知らなかった。
このクロノという少年との出会いによって、私の運命が大きく変わることを────。