monopolize 1/1





「…ぐぅ…ぐぅ…」


「………」








今目の前には気持ち良さそうに眠ってるウィル。そして今私がいるのはウィルの寝てるベッドの中。
誰かが見たら明らか誤解を生みそうな光景だ。








(…この状態から何分経ったんだろ)








リュカに頼まれてウィルを起こしに来たんだと思うんだけど…どうしてこうなったっけ?
えーと確か…ウィルが使ってる部屋に入って、声掛けて起こしても起きなくって…肩叩いたり揺すったりしてたら急に腕を引っ張られて……
あ、やっと思い出した。ウィルが寝ぼけて私をベッドの中に入れたんだった。
随分長い事この状態だからすっかり忘れてた。








「もー……いい加減起きてよウィル…」








最初は凄い恥ずかしくてウィルを叩いて何とか起こそうとしたよ?
でも一向に起きる気配が無いしギュッと抱きまくらみたいにして離してくれないし、要は私が諦めモードになってきて今みたいに呆れた声しか出ない。
…悲しい事にこの状態にも慣れちゃった(慣れたく無かったんだけど)








「…ウィルって結構睫毛長いなぁ」








こんな間近でウィルの顔を見るのってそうそう無いな。
元々ウィルも整った顔立ちをしてるのもあって羨ましく思う。
もしかして肌も……?
モゾモゾと腕だけ出してウィルの頬を人差し指で触れてみる。








「…うわ、すご…」








女性に負けず劣らずの弾力…流石王子様…何かちょっと悔しいな。
ていうか今ちょっとだけ擽ったそうに顔顰めたよね?
試しにもう一回頬を触ってみる。








「……ん…」








お、やっぱり反応した。擽ったいの苦手とか?
よし、ウィルが起きるまで弄ってやる。








「起きろー起きないとずっと悪戯しちゃうぞー」








散々叩いたり揺さぶったりしても起きないウィルがこんなんで起きないウィルがこんなんで起きたら凄いけどね。













「……悪戯ってどんな悪戯だ?」


「Σえ」








耳元で低い声が聞こえたかと思うと視界が木製の天井に変わった。
そして天井と一緒に不敵な笑みを浮かべているウィルが…








「ってΣウィル!?お、起きてたの!?」


「ああ、名前が大人しくなってからとっくに。まぁ名前を引っ張った辺りから何となく起きてたけどな」


「全然最初じゃんか!起きてたなら起きてよ!」


「悪ぃ悪ぃ。名前の反応が面白くって」








さ、最悪だ…!
ということは私の独り言も全部聞かれてる。
冷めてた恥ずかしさがまた浮上してきて顔がまた熱くなってきた。
良かった、まだ慣れてはいなかったみた……いやいやいや、今はそんな事思ってる暇は無い!








「で、名前はオレにどんな悪戯するつもりだったのかな?」


「ぅぅ…」








…寝起きだからかな、何だかいつものウィルじゃない。
というかいつものウィルじゃないのは寝起きだからであってほしい。



「…ぶふっ、名前すっごい必死な顔」


「だ、誰のせいだと思ってるの…!そ、それより早く退いてよ!誰か来たら誤解されちゃう!」


「何でだ?」


「Σ何で!?」








何でって聞く普通!?
…ダメだ、今のウィルまだ寝ぼけてるに違いない。
寝起きじゃなくて寝ぼけ…ってこれ意味一緒?








「退いたら名前、皆の所に戻るだろ?」


「そ、そりゃあそうでしょ?皆待ってるんだもの」


「だから」


「へ?」


「皆の所に戻ったら独り占め出来なくなるから退かない…少しでも名前を独り占めしたいからな」


「ウィ、ウィル……」









…まさかそれが理由で寝たふりしてた…とか?
どちらにせよまだ暫くは解放してくれないらしい。
間近でドキッとする眼差しで見つめながらそんな事言うの反則過ぎるよ…
そうこうしてる内にウィルの顔が近付いて、唇が重なるんじゃないかと思ったその時















ガチャ













「名前?まだウィルは起きないのか………い……」


「……あ」







ドアが開いてウィルと揃ってそっちを向いた。
そこには私達を見て見事に固まってしまっているリュカの姿が。









「……」


「……」


「……」







時が止まった感覚を感じながら私は思った。
色んな意味で終わった。と…





END


   




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