魔人アル様の作品 1/1




こんにちは
私は『名前』って言うの。
今日は みんなと一緒に特訓するはずだったのね・・・・

そう・・・・
するはずだったの!!!

でもね・・・悲劇が起きてしまったわ・・・・
それは・・・





 



                      『逃走事件 さぁ にげましょうか 皆から!!』



















今日はみんなと特訓するときいて結構張り切っていた名前。
こんな私でもみんなは守ってくれて励ましてもくれた。
だから私もみんなの役に立てる存在になりたい。
なれたらいいなぁ・・・

エイト「あっ おはよう名前。」

名前『あっ おはよう エイト。今日はレベル上げよね?』

エイト「うん。名前・・・大丈夫?」

名前『へっ? 魔物のこと?」

エイトはこくりと頷いた。
うん・・・たしかに大丈夫じゃない。
このわけの分からない世界に・・・・ってそれはずっと前のお話。
今はこうして 勇者を集めてみんなと仲良くできることが私にとってはとても幸せなこと。

名前『大丈夫!もう あの時と違うんだから!』

レック「・・・・俺は心配なんだ・・・。」

いきなり背後から声がする。
その声の主は『レック』。
一瞬 背後霊かと思ったよ。
だって こうも声がひくいんじゃぁ お化けとしか思えないから・・・さ?

レック「分かる? たしかにレベル上げも必要だけど・・・君は・・・女の子だろっ?」

その言葉で何かが切れた
そう・・・・何かが切れたのだ
レックが言った  『女の子だろう?』
女の子だから戦ったらだめだとか怪我をするからということでたまにみんなから反対を食らう。
でもそんなの関係なんてない。

エイト「レック 名前は女の子でも立派だと思うよ。こうしてしっかりとみんなをまとめてくれているから僕からしたら立派だと思う。」

名前『エ・・・エイト・・・・』

レック「やめろっ・・・そうやって 名前を惑わせやがって。これだからお兄ちゃんは・・・」

名前『はいはい。レックお兄ちゃんは心配性ですね〜〜』

ニコニコ笑いながら名前はわざとらしくレックの鼻を掴む。
すると声が変わるし けっこうリアクションが面白いから。

レック「うわぁぁああああぁあ!!名前がぁぁああああぁ 悪い子に!!!」

ブチッ

名前『そういうレックだって・・・十分・・・悪い子ですね!!!』

鼻を握ったまま名前は歩く。
もちろん、あるくと引っ張られるからレックはそのまま着いていく。

エイト「あはははっ!!レック 変な顔〜〜」

レック「わらうなボケッ!! イタイイタイ!!」

名前『私のことを子ども扱いするからです!』

そのお仕置きとして今回は鼻を引っ張ることで許す。
でもこんど そんな扱いしたら許さない。
レックの大事な武器とかに落書きしちゃうから。
覚悟して置いてよね。

しばらく引っ張っていると別の声が混ざる。
その声はソロ。

ソロ「・・・朝から何してんだ お前ら・・・」

もちろん呆れ顔。
何よ 何よ そんなにあきれるほどのことなんですか。
名前はレックの鼻から手を離す。
レックはすかさず 鼻をさする。

レック「いてぇ〜〜 これは目がさめるわー」

エイト「えっ・・・・起きてなかったの?」

レック「おはよぉー エイトに名前!」

・・・・・・・・・・・・・。
この場に居る3人はレックに冷たい視線を送る。
だって空気読めていないじゃん。
しかも 私に鼻引っ張られて笑っていたエイトのことよんだじゃん。
どれだけ記憶がないの・・・

ここまでは普通だったのよ?
でもそのあと ナインもアルスもアベルも大勢で来て・・・・
そして私に寄ってくるの!!

名前『ぎゃぁあああぁああ!? なんで!?私、呪われてるの!? みんなになんかした!?』

エイト「僕が今日 名前と特訓するんだ!邪魔!!」

ナイン「いえ この僕ですね。 さぁ 名前 レベル上げは・・・・」

レック「ちょっとまて!ナインもエイトも抜け駆けしてんじゃねぇ! 俺がいいよな?名前」

アルス「ぼっ・・・僕と一緒にしましょう? 特訓!」

アベル「魔物に関しては俺がアドバイスできるから俺に任せてくれ」

何行っているの!?
エイトもエイトでなんかこわい!!!
ナインも笑顔でそう言っているけど目の奥の奥は笑っていない!
レック・・・・君はどうしてそんなにしてまで・・・。
アルス・・・癒されるけど・・・・こうなるとみんなに混ざって怖い!!!
確かに魔物使いなアベルさんなら出来そうなんだけど・・・今の状況じゃ 帰ってきたときにアベルがぐだぐだみんなに文句言われる!!

ぎゃぁぁぁ!!!!
逃げ回っているとソロが目に入る。
ソロは追いかけてこないんだ?

名前『ソロ!!助けてよーー!見てないでさ!!』

ソロ「・・・俺をまきこむんじゃねぇよ。まぁ 暇つぶしにはちょうどいいや」

名前『えっ・・・・見物するだけ・・・!?』

ソロ「まぁ そうなるな」

そうなるなって・・・・他人事みたいにーーーー!!
仕方ない!

私は宿の人たちに迷惑をかけていることは分かっている。
だから宿のドアノブに手をかける。

アルス「えっ・・・?名前?」

レック「ちょっ・・・まてまてまて・・・!!」

アベル「名前!落ち着いて!!そして手を離して!そこから!!」

エイト「まって・・・?名前ちゃん・・・」

ナイン「えっと・・・・名前さん・・・?」

きっとみんな予想してないよね
私が宿の外に出るなんてこと。
ふふっ・・・・甘いわね・・・・逃げるためなら私は手段を選ばないわよ!!

名前『私を見つけられるかしら?』

そしてドアノブを思いっきり開けて街のなかへと逃走したのだ。
そう・・・・これぞ街を巻き込んだ かくれんぼ 鬼ごっごというところになる。
が、逃げれればもうなんでもいいや。

走っているうちにあることを思い出す。
勇者の中で一人女の子いたよね。
そう・・・カイナちゃん。
あの子どこ行っちゃったのかしら。
私にとっては奇跡に近いわ。
でも・・・今日に限っていないなんて運がないのね 私って・・・。















そこから二時間経過。
さぁ もう本当にこの街は広いですね。
うん。
逃げ回っているうちにそう思ってたよ。
そして・・・・私は 今・・・・迷子になってしまっています。
逃げられたのはよいのだが・・・あぁーーー!!
予想外のことが!!
迷子になるなんて 逃げるのにはありえない!!
この街って広いからね・・・・せめて少しでもいいから散歩しとけばよかったなぁ・・・。

名前『・・・・本当にどうしよう・・・。カイナちゃ〜ん・・・居たら返事してよぉー』

たよりのカイナちゃんの名前を呼んでみる。
 名前を呼ぶと飛んでいくからね
前に言ってもらった言葉だ。
そんなのありえないのに・・・・。

カイナ「あれ?名前?どうした?」

名前『えっと カイナちゃんの名前を・・・・』

えっ?
カイナちゃん目の前に居ますね。
名前呼んだら飛んでくる・・・・
本当だったみたい・・・
私は混乱して何を言っているか分からなくなってきた!!

名前『えっ!?えっ!?なんでカイナちゃんここに!?』

カイナ「なっ・・・なんでって・・・呼んだんじゃないの? ここら辺から声が聞こえたから・・・」

名前『わぁーーー!!』

その言葉だけで充分です!
めちゃくちゃうれしいんですけど!!
どれだけ耳いいのこの子!?

って たしかある魔王の子供って言っていたしそのせいだろうね。
でもうれしい。
こうして一人じゃないこと。
一人で居たらもうそれは さびしい思いをしているに決まっている。
カイナちゃんに事情を話す

カイナ「で・・・追われているの?」

名前『はい・・・そうなりますね』

カイナ「馬鹿な男たちだねぇー。追うよりもじゃんけんして決めればいいのに」

名前『そうよねぇ・・・でもどうして言い争いになって追いかけられるのかしら・・はぁ・・・』

本当に今日は散々。
二時間逃げ回った挙句に最終的には迷子になるという・・・最悪だ・・・

カイナ「・・・鈍いな・・・本当にさ・・・」

名前『はぇ?』

カイナちゃんはいきなりため息をついてそんなことを言い出した。
鈍い?
私が?
確かに戦いの面では鈍いよ?
レックみたいに空気読めないとこあるよ?
でもそれでも私は私なりにがんばっているんだから。
でも・・・女の子のカイナちゃんまでにいわれるとなんかショックだな・・・。

エイト「いた!?」

名前『やばいっ!!』

まさかのエイトがこちら側に来ていた。
ここで見つかってしまえばきっと面倒なことになる。
そんなのはいやだ!!

ぐいっ

カイナちゃんに腕を引かれる。
一瞬と惑ったけど、エイトとは逆方向に向かっているからたぶん・・・違うところだろうか・・。

カイナちゃんの耳・・・・めっちゃ触りたい・・・。
ウサギとかネコみたいにピクピク動いているんだもん。
その反応はまわりの音を感知しているのだろう。
今のところ大丈夫みたいだけど・・・。

名前『あのぉ・・・カイナちゃん?』

カイナ「宿はもう近くだから。夜になれば私が説明しておく。宿には・・・・・・・・・・・ソロがいるね」

そういえばソロって追いかけてこなかったね。
暇つぶし暇つぶし・・・キーーッ 思い出すだけで腹が立ってきた。
カイナちゃんみたいに助けてくれなかったのよ!?
暇つぶしにちょうどいいですって!!

カイナ「・・・・おっ・・・お兄ちゃんと・・・アルスだ」

ザッ と私を後ろに隠してアベルとアルスから見えないようにしてくれているのだろう。
本当にやさしいなぁ・・・
男の子なら私は惚れていたのに残念だ・・・

そうしていろんなことを考えながら宿に無事到着。
にしてもカイナちゃんスパイみたい。
慎重に進んでいくし・・・

カイナ「ここの宿あたりは知り合いの声がダレも聞こえない。するとしたらソロなんだけど・・・まぁ あいつ追いかけてこなかったんでしょ?」

名前『うん・・・』

カイナ「なら 安心した。私はまだ買い物続けているから」

名前『そんなに必要なものなの?』

カイナ「必要・・・だと思うよ?」

意味ありげにカイナちゃんは笑うとそのまま街のなかへと去っていく。
あぁ・・・本当に天使ちゃんだ。

宿のドアノブに手をかけて中に入る。
カイナちゃんの行ったとおりだれも宿には残っていなかった。
いるのはお客さんだけ。

名前『ふぅ・・・助かった・・・』

ソロ「お疲れさん みてたぜ?」

名前『なっ・・・!?ソロ!? あ ソロはいるって言ってたな・・・。』

ソロ「・・・・? 何の話だ?」

名前『それよりこっちが知りたいのよ!見ていたってどういう意味よ!!』

ソロ「そのまんま。 窓から眺めさせてもらったぜ。途中からどこか分からんくなったけど」

   へぇ?
見ていたくせに助けてくれなかったんだ?
最低・・・本当に信じられない。
どれだけ逃げ回ったと思っているのよ!!

本当は怒鳴りたかったけどそんな気力はなかった。
この宿に入った瞬間から安心感に襲われたからまぁ・・・聞き流すことにするわ。

ソロ「なんだ?いつもみたいに怒らないのか?あんたの怒り顔 楽しみにしてたのにさ」

私はため息をつく。
そんなに私の怒り顔がみたかったわけですか
それはざんねんでしたね
見れなくて。

名前『私、疲れたの。もう怒る気力もないわ』

ソロ「ふ〜ん?さっきまで声荒れてたくせに?」

名前『・・・助けてくれたのはカイナちゃんよ』

ソロ「・・・・あいつの娘か・・・」

そうよ。
あなたにとってはにくいでしょう
でもあの子は貴方に救われたって言っていたわ。
愛する人を救ってくれて本当の敵を倒してくれたって。
ピサロは・・・本当はやさしい人なんだって言っていたわ。
だからこそ・・・アベルのところで一緒に育ったのよ。
あの子の父親が・・・悪い魔王だということは分かっている。
でも・・・それでもたった一人の家族なの。

名前『ソロは・・・ピサロを・・・憎んでいる?』

ソロ「あぁ・・・当たり前だ・・・。俺の故郷を・・・シンシアを・・・!!」

名前『じゃ・・・カイナちゃんは?』

ソロ「・・・憎んでもいるが・・・ちょっと疑問かな?」

名前『えっ・・・どうしてよ』

ソロ「髪の色」

名前『えっ・・・?』

ソロ「俺の世界ではピサロは銀色。ロザリーは赤色だろ?なら 銀色と赤色が混ざってもおかしくないのになんであいつ緑なんだ」

あぁ・・・確かに。
でもカイナちゃんは緑でも充分似合うと思う。
アベルさんとは本当の兄妹みたいに見えるし・・・。
まぁ カイナちゃんのお話はここまでとして・・・

名前『見損なったわ・・・本当に・・・』

ソロ「・・・・なんだと?」

名前『私をまるでオモチャみたいに扱うソロに見損なったわ。はぁ・・・』

えぇ・・・・分かっているわ。
ソロがものすごく自分のことをにらんでいることも十分承知の上。
でも私は本当のことを言っただけだわ。

名前『それじゃぁね ソロくん』

意味ありげな笑みを浮かべた。
この笑みはカイナちゃんから教えてもらった笑み。
こうすることでなにかいけないことをしてしまったのではないかという不安を相手におそわせることができるらしい。
さぁ 楽しみだね。
いざとなったら名前呼べば来てくれるよね?























名前『それじゃぁね ソロくん』

あいつがはじめて俺の名前を呼び捨てにせずにべつの名前で呼んだ。
最初に言ったじゃなかったけ?
「くん」とか「さん」とかつけないでほしいって。
でも条件は出さなかったからまぁ・・・当然だろうな。
とおもって名前をみると・・・・笑っていた。
黒い笑みだ。
あれは怒っているという笑み。

めちゃくちゃ怖ぇ・・・!!!
あいつあんな笑い方するのか!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

でもあんな笑い方をするということは本当に根に持っているということだろう。
どうしてあのとき助けてっていったのに・・・・
そんなことを訴えている気がする。
たしかに暇つぶしのつもりもあったが・・・お前がどんな行動をするか見てみたかった。
うまく逃げ切ったみたいで無事に宿に帰ってきた。

そのとき俺はどれくらい安心したと思ってる?
見ている途中・・・どれだけ緊張したと思っているんだ・・・?
つかまったらすぐさま飛んで行くさ・・・
そして連れ出して部屋に閉じ込めてやろうとも思ったさ。
けど そんなことをしたら あいつの名前 呼ぶだろ?

勇者のなかで選ばれたたった一人の女・・・そして俺のにくき魔王であるピサロの娘・・・。
そしてアベルとやらの妹だとかいいやがって。
俺はつかみかかろうとした。

どうしてこんなやつと一緒にいる!?
人間の敵なんだぞ!?
なんで こいつが勇者なんだ!?

他にも悪口を言った気がする・・・・
あの時は本当に悪かったとも思っている
でも・・・俺の悪口をとめたのは名前なんだ・・・。


__________________________________________

名前『あなたの時代はまだ救われていない・・・でも・・・このカイナちゃんは・・・貴方に救われたの!!わかる!?』

ソロ「俺は・・・そんなことした覚えはねぇ!!返せっ!!俺の故郷を・・!!シンシアをっ!」

名前『貴方のおかげで・・・・カイナちゃんのお父さんは人間を・・・私たちを・・・殺さなくなったのよ!?』

ソロ「そんなこと・・・」

カイナ「知ったことか・・・。そうだね・・・私の父は君に悪いことをした。それは謝るよ」

ソロ「謝っても・・・みんなは帰って・・・」

カイナ「こないね。でも私は 君に救われた。今の君じゃ そんなした覚えはないけど・・・君は未来で私の父を救ってくれたんだ。 ありがとう・・・・」

名前『これでも・・・まだ言うの・・・?』

ソロ「・・・ちっ」


____________________________________


こんな感じで会話が終わった気がする。
でも こうして仲間で居ることがどれくらい楽しいかって言うことぐらいも分かっている。
俺の双子の妹ソフィア・・・
大丈夫かな・・・あっちの世界で・・・。

まぁ この話はおいて置いて・・・
あいつの機嫌を悪くしてしまったのは事実。
まさかあんなに機嫌が悪くなるとか思っていなかったから・・・。
入ってくるなとか言われたらどうしよう・・・とも思ったがまずは行って見なければわからないよな。
二階へとあがり名前の部屋を目指す。








コンコン

・・・・・・・・・・・・・・・
返事はない。
疲れたとも言っていたから眠っているのだろうか。
扉をゆっくり開けると本当に眠っているようだ。

名前『すぅーすぅー』

それもとっても気持ちよさそうに寝やがって。
そしてソロは名前の枕元に起こさないように座る。
こいつもこいつで苦労しているんだよな・・・
見知らぬ世界で・・・平和に暮らしていたのに・・・こんな思い使命持ってさ。
勇者より重いよな・・・・

ソロ「・・・あの時悪かったな・・・。お前のこと何も知らなかったから・・・あんなこと言えたんだ・・・・悪かった・・・・」

名前の髪の毛をゆっくりと触る。
こいつ黒髪なんだな?
意外とサラサラしてやがる。
俺の髪の毛を触ったときが合ったな?
まぁ 謝った御礼として寝ている間は触らせてもらおうか。

名前『すぅ〜〜〜』

ソロ「・・・本当に疲れてんだな・・・。お疲れお疲れ・・・」

ドヤ顔をしながら俺は言った。
俺のドヤ顔なんて寝ているこいつからは見えないだろうし。
そう思って髪の毛を触った瞬間・・・寝息が変わった・・・
うなされているように・・・苦しんでいる表情に変わる。

名前『あっ・・・あぁ・・・!!ごめんなさいっ・・・すくえな・・・い・・・!!いやぁ・・・!!』

ソロ「・・・名前・・・・?」

名前『いやぁ・・・いやぁ・・・みんな・・・たすけ・・・・!!!』

こいつにこれ以上夢を見せては駄目だ。
ソロは名前を揺さぶる。

ソロ「おいっ!!!おいっ!!名前!!!名前!!」

体を触っているとき伝わる震え。
これは悪夢にうなされていると言うことだ。
おれが揺らしても名前は目を開ける気配はない。
さらに震えが強くなってきている。

ソロ「名前!!!」

大声で叫ぶ。
はやく目を覚ましてくれ。
そんな苦しい表情をみせないでくれ!!!

名前『ソ・・・ソロ・・・・?』

ゆっくりと目を開けたあとに名前は口をふさぐ。

名前『う〜〜〜!!』

ソロ「!気持ち悪いのか?」

こくこくと首を縦に振る。
きっとこれは吐き気がするというより吐きたいのだろう。
ちょうど布があったから名前の口元に持ってくる。

ソロ「これで吐け」

というと首を横に振る。
俺のものだから汚したくないという思いが強いのだろう。

ソロ「吐け・・・。汚れても洗えばいいからな?」

そう言うと名前は袋を受け取って吐いた。
しばらくそれが続く・・・


全て吐き終えた後、俺はお粥を作ってあげることにした。
あの悪夢のせいだろう。
気分が晴れない。

名前『ううっ・・・ごめ・・なっ・・・』

ソロ「謝るな・・・まず少しでもいいから食え・・・」

お粥を名前の口まで運んできてやる。
名前は黙って食べてくれた。
お粥が残り半分のところで限界だったようで食べさせるのをやめた。

名前『ソロ・・・ごめんね・・・』

ソロ「いや 大丈夫だ。気にしないでくれ・・・気分はどうだ?」

名前『さっきよりだいぶマシだよ・・・ありがとう・・・・』

にっこりと笑う。
その笑顔が作り笑いだということも分かる。
そんな顔してまで笑わないでくれ。
そう思うと名前のことで心がいっぱいになる。
そして・・・抱きついた。
強く抱きついた。

名前『ソ・・・・ソロ・・・?』

ソロ「俺がちゃんとしていればよかったんだよな・・・ごめんな・・・名前・・・・」

名前『っ・・・!私の名前を・・・・』


今なら言える。
ずっと旅してきてためてきた思いもいえる。
誰もいないから・・・言える・・・

ソロ「・・・俺は・・・名前が・・・」

いきなり赤面する名前。
と・・・同時に・・・・

 バサバサ

扉の方から音がする。
扉の方向を見ると・・・・あいつが居た。
そう・・あいつが・・・・

カイナ「・・・・ソロ・・・君・・・まさか・・・」

ソロ「なっ・・・!!お前いつの間に居たんだよ!?」

カイナ「えっ?名前が気持ち悪そうな声聞こえたから来てみたら・・・この状況・・・」

名前『カイナちゃん・・・あー!そうだ!!何買って来たの!?』

あわてて名前は話をそらす。
俺もあわてて話をそらす。
せめてそらそう!!
この状況という名から逸らしてくれればいいから!!

カイナ「えっ?あぁ・・・お守りだよ」

名前『お・・・お守り・・・?』

カイナ「うん。いちおうみんなの分もあるよー この紫はおにいちゃんの。ちょっと水色に近い緑はソロのね。黒は名前のだよ。」

ソロ「・・・お前・・・・暇だから買ったのか・・・」

カイナ「いや?安全祈願のつもり。」

ソロ「あんぜ・・・?」

名前『無事を祈ってるってことだよ。ソロ』

ソロ「へぇ〜・・・なんでまた?」

カイナ「みんな無茶ばかりするからね。それではお二人さん お続きをどうぞ」

扉をパタンとしめてきえさるカイナ。
続きをどうぞって・・・・できるわけないだろうが・・・
お前に見られたんだから・・・

そのあと俺と名前はしばらく赤面だった。






































おまけ

夕方になってもまだ名前探しをしているメンバーたち。
カイナはそのメンバーの集合地点に向かった。
偶然みんな集まっていたからすぐにでも話した。

「「「「「「「ええ!?もう帰った!?」」」」」」」

カイナ「そう。君たちがうろうろしているときに私が案内した」

エイト「どうりで見つからないわけだ・・・」

レック「グルだったのか?お前ら・・・」

カイナ「呼んだから?」

アベル「疑問系で返すな疑問系で」

ナイン「あぁ〜〜 前言ってましたね?名前を呼べば飛んでいくって。とんでいったんですか?」

カイナ「耳いいからね〜 魔族だし」

アルス「僕たちとかわんないけど・・・姿は・・・」

エイト「まぁ そうと決まったら帰るか」

アベル「そうだな!カイナ ご苦労!!」

レック「あれは作り笑いだぜ・・・」


そうしてみんなは宿に戻っていきましたとさ
 おしまい








   




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