恋人の夜 2/2
箱を差し出したままうつ向いてしまった名前。
……たしか、名前は料理が苦手だったんだよな……。
以前名前が料理を作ってくれたことがある。だが、その味はお世辞にも上手いとは言えなかった…。
それからは俺や仲間たちが料理をしていたのだが……。
その彼女が自分のために懸命に作ってくれたと思うと、自然に笑みがこぼれてくる。
俺は目の前に差し出しされているピンクの箱を手に取った。
ハッと名前が顔を上げる。
「開けて…いいか?」
そう聞くと名前は顔を赤く染め、かすかに頷いた。
中を開けて見ると、そこには大きなハート形のチョコレートが入っていた。
そして、端のほうに『大好き』と小さく書かれていた。
それを微笑ましく思いながらパキンと欠片を作り、口に入れた。
『ど、どうですか…?』
名前が心配そうに聞いてくる。
「………うまい」
『本当!?』
ちょうどいい甘さとほどよい苦味がマッチしていて、本当にうまかった。
『良かったあ〜……』
安心したように胸を撫で下ろし、俺が好きなあの太陽の笑みを浮かべた。
本当に可愛らしい彼女だ。俺はたまらなくその唇にキスをした。
『ん…っ!?』
名前は驚いたように、俺から体を離そうとした。
俺はかまわずにキスを続ける。
名前の唇はチョコレートより2倍も3倍も甘かった。
俺の唇が離れると、名前は顔を真っ赤にして頬を膨らませた。
『…いきなりは卑怯だよぅ…///』
「ははっごめんな。お前があまりにも可愛いくて。」
名前はさらに顔を真っ赤に染めた。
本当に可愛いすぎる
「…ありがとうな」
そう言うと、名前は満面の笑みを浮かべた。
セントシュタインでの甘い甘いお話……。
end
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