その頬に触れたのは 2/2



「名前」

「はい?」

「今は別に強くなるとか……レベルとか経験値とかスキルとかどうでもいいんだよね」


いやいやいやいやエイトさんさっきから人に話のリアリティがなんやかや言ってませんでしたかそれどころかゲーム感丸出しじゃ無いですかエイトさん。
真っ黒なオーラまで出てますよ。


「まあ取り敢えずここ一帯のリップスを全滅させる」

「……?何言ってるの!?」


エイトの発言に、私は思わず大声を出していた。
するとエイトは私の方を向き、頬に手を触れてきた。


「リップスのクセに名前の頬にキスなんて生意気極まりないよね」

「はい?」


エイトの真意が理解できずきょとんとする私に。

次に降ってきたのは言葉でも(黒い)笑顔でもなく。



頬への柔らかい感触。



「……―っ!?」


驚いて声が出ない私を見てエイトはクスリと笑う。


「名前の頬に触ったりキスしていいのは僕だけだからね?」


なななな何それ……。
どんどん顔が真っ赤になっていくのが自分でもわかる。
「なんだエイト。モンスターに妬いてんのか?ちっさい男だなー」

「え?ククール何か言った?」


ニヤニヤした顔で先のやり取りを見ていたククールが横から口を挟み、エイトがにこにこしながらライデインを唱え始めている。
私はその状況を止めることもツッコミを入れることも、身動きを取ることさえ出来なかった。


先程まではリップスの唇の感触が頬から消えなかった。

しかし今はもう、頬に残るのはエイトの唇の感触で。
雷鳴が轟く中、頭の中では、エイトの事しか考えられなかった。
















………………

「あれ、ククール見事なまでに黒焦げだね何かあったの?」

「エイト……貴様の胸に聞いてみろ!」

「え?何の事かな?」

「貴様……名前も何か言ってくれよ!」

「……(放心状態)」

「オイ名前……」

「名前に触らないでよ……ギラ」

「ぎゃああああ!!!」



ゼシカ「結局木の事はどうなったのよ……」





  




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