第12章

第12章




エイト「ドル…マゲス?」



ドルマゲス…その名前に一番に反応したのはエイトだった。



アルス「エイト知ってるの?」


エイト「…知ってるも何も僕の世界の奴だよ。僕はそいつを追って旅してたんだ。」



そういえばルイネロさんの家で、


――…ドルマゲスは多分もっと先だ…――



って言ってたな。



エイト「まさかまた犠牲者が出るなんて…」


『エイト…。』


エイト「ドルマゲスの居場所は分かってるんですか?」


ラーミア「えぇ。今は闇の遺跡にその身を隠しています。きっとその莫大な魔力に体が追いつかないのでしょう。」


エイト「闇の遺跡…?」


ラーミア「賢者の子孫の一人であるギャリングがいた場所、すなわちベルガラックから北の方向の島にある遺跡です。」


エイト「まだまだ先だと思ってたけど…ついにか。」


ラーミア「エイト、あなたの仲間も待っています。さぁ急いで闇の遺跡へ行きましょう!」



その言葉にエイトが力強く頷いて、ラーミアさんの背中に乗ろうとした時。





ソロ「おいエイト。」



いつも信号信号って言ってるソロが、珍しくエイトを名前で呼んだ。



ソロ「お前まさか一人で行く気じゃないよな?」



ラーミアさんの背中に乗りかけていたエイトは、その動きを一瞬止めてソロの方へ向き直った。



エイト「元の世界へは僕一人で行くよ。」


『えっ!?』


ローレ「お前…」


エイト「その世界には僕の仲間もいるし、大勢で行く必要はないでしょ?」



それに、とエイトは続けた。



エイト「この戦いで僕が無事に帰って来れるかは分からない。そんな危険な所に皆を連れては行けないよ。」



無事に帰って来れるかは分からない…?

冗談でしょ?と聞こうとしたがエイトの表情を見て、その言葉が言えなかった。


エイト「こっちのことは僕らで何とかする。だから皆は旅を続け…」


パシィンッ!!!



その場に、乾いた音が鳴り響く。


気付いたら、私はエイトの頬を叩いていた。


エイトは頬を押さえてびっくりしたように止まっている。


エイトだけじゃない。
皆も信じられないという風に、無言で私を見ている。




『ふざけないでよ…。』


エイト「…」


『…元の世界には一人で行く?無事に帰れるか分からない?しかもそんな危険な所に皆は連れて行けないってどういうことよ…。』


ラーミア「ミキ、少し落ち着い…」


『何のために…何のために私達はこうやって集まって来たの?ドルマゲスみたいな悪い奴を倒すためでしょ?』


『だったら尚更皆で行かなきゃ意味ないじゃん!それとも私達、そんなに頼りない…?エイトの手助けができない程…?』


私は何だか悔しくなって、涙が溢れて来た。


エイト「ミキ…。」



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