第11章
第11章
「なあ」
私はその声の方へ振り返り、目を丸くした。
突然知らない声に呼ばれてびっくりしたのもある。
しかし何よりその声の主があろうことか、先程去って行ったはずの青い髪の少年…レックだったのだ。
『Σうわあぁっ!!』
レック「え!?」
ヤバい…びっくりしすぎて叫んでしまった。
だってついさっき反対方向に去って行ったんだよ?
何で私の真後ろにいるの!
エイト「ミキ!?どうしたの!?」
ナイン「魔物でも出ましたか!?」
うわ。私が大きな声出したせいで皆が何か勘違いしちゃってる!
レック「お、俺何かしたか?」
『み、皆ごめん。何でもないよ!あ、いや、あるけど!』
一瞬皆どっちだよ、ってツッコミたそうな顔したけど私の隣にいるレックを見て、すぐに驚きの表情に変わった。
ローレ「な、何でレックがここにいるんだ?」
アルス「さっきどこかに行ったはずなのに。」
ソロ「一人称も“ボク"から“俺"に変わってるし」
皆も混乱しているようだ。
レック「あんた達、さっきランドと話してた俺とそっくりの奴のことを言ってるんだろ?」
そっくり?
ランドっていう人と話してた人には変わりないけど…。
レック「そっくりというか、まぁあれも俺なんだけど。」
『???』
レック「つまり…」
***
レック「…と、いうわけなんだ。」
なるほどね。
要は、決戦の際に自分の肉体と精神がその敵によって分けられてしまった。
そして今、その肉体と…もう一人のレックと合体しなくてはならないのだという。
レント「じゃあさっさともう一人のレックを見つけようぜ。確かあっち方面だよな。」
レック「あぁ。そんな広くない村だし、すぐに見つかると思う。」