第10章
第10章
――レック兄ちゃん!――
―兄ちゃんって呼ぶのもだいぶ慣れちゃった。―――
――俺はよそ者が大嫌いなんでね――
――この世界のどこかにあなたの実体があるはず…――
『ハッ!!』
ガバッ!
な、何だ夢か…。
今の夢は一体…?
ナイン「ミキ!目が覚めたんですか!?」
『ナイン…。』
ナイン「良かった…。いきなり倒れるからびっくりしましたよ。もう大丈夫なんですか?」
ナインが心配そうに見つめてくる。
『うん。というか私、どうなったの?』
ナイン「覚えてませんか?急に誰かが乗り移ったように語り出して、そのまま意識を失ったんですよ。」
そうだ。
何か急に頭痛がして声が聞こえて…。
『あれ?そういえばここは?それにナインも…』
ナイン「部屋はリッカに頼んで用意してもらいました。僕は皆と交代でミキの様子を見ていたんです。」
リッカちゃんが…。
ただでさえ宿屋の仕事が忙しいのに、余計な仕事増やして迷惑かけちゃったな。
それにナインや皆にも…。
ナイン「ミキ。」
『ん?』
ナイン「僕達は迷惑だなんて思ってないですよ。」
『え…』
ナイン「先程のミキの言葉はきっと、光の神であるミキ自信の力によってなったものでしょう。その力で僕達は導かれてるんです。迷惑どころかむしろ助けられてるんですよ。」
光の神である私自身の力で皆を導いてる…。
『でもその力を使う度に倒れたら、それこそ迷惑になっちゃうよ。』
ナイン「大丈夫。今はただミキがその力に慣れていないだけです。これから旅をするうちに成長していきますよ。それに今回は僕達にも非がありましたし…」
『非?』
ナイン「えぇ。これからはミキが倒れるまでに至らないよう注意します。」
『ナイン…』
『ありがとう。』
私がそう言うと、ナインは優しく微笑んでくれた。