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第32章




ガザール「待たせたな皆ー。お待ちかねの新入生達だぞー。さ、入ってくれ。」


ガザール先生につられるようにして、私たちはぞろぞろと教室に入った。
生徒たちの目線が、一気にこちらへ集中する。
静かだった教室が、またざわざわと騒ぎ始めた。


「やばい!すごいイケメン!」
「きゃー!私あの緑の髪の男の子タイプ!」
「あの銀髪の子も素敵…」
「ちぇー男ばっかじゃねぇか。」
「ばか、見ろよあの子。結構可愛くね?」
「おー俺もろタイプかも!」
「おい見えねぇって!立つなよお前!」



な、なんて言ってるんだろう…。
皆が個々に話すから、音が混ざって何を喋っているのか全く分からない。
でも女の子たちの黄色い声が多いのは大体理解できた。


ガザール「おーい!静かにしろー!…悪いな、自己紹介頼む。」


ガザール先生の一声で、生徒たちは口を閉じた。もう一度私たちに目線が集まる。

一通り自己紹介した後拍手を貰い、私たちはとりあえず空いている席と新しく置かれたであろう席へ座った。

私の隣はフワッとした金髪の似合う可愛い女の子。後ろで結んでいる緑色のリボンがさらに魅力を引き立たせている。
その子はくるりと横を向き、笑顔を作った。


*「うふふ、初めましてミキ。今日からお隣ね。」

『あ、初めまして!これからよろしくね!』

*「私はサラっていうの。でも皆サリーって呼んでるからあなたも気軽に呼んでね。」

『了解。サリーね。』

サリー「ふふ、ありがとう。やっと隣の席が埋まって嬉しいわ。改めてよろしくね。」


そう言って二人で笑い合い、前に向き直した。まずは友達一人目っと…。
なんだかサリーっておっとりしてる感じだなぁ。話し方もゆったりしてるし。

そういえば他の皆はどこに座ったんだろう。
首を少し動かして教室を見渡す。
あ、斜め前はレックだ。ここの席からだとよく見えるな。

なんてことを考えていると、


『───ッ!』


ふいに誰かが私の背中を指でスーッと撫でたのを感じ、思わず叫びそうになる。
それをなんとかぐっと堪え、後ろを振り返った。


レント「へへっ。よぉミキ。」

『‘‘よぉ”じゃないよ…!びっくりして叫びそうになったんだから…。もうやめてよね。』

レント「さぁどうかな〜」

『レント…!』


小声で怒る私を見て、楽しそうに笑うレント。
これは絶対またやる顔だ。
真面目に授業受けてくれたらいいんだけど、と思った矢先にこの行動だ。先が思いやられる。
と思ったけどレントの右隣はアルスだから、きっとさりげなく注意してくれるはず。

そしてもう一度前を向いて残りの皆を探そうとした時、見たことがあるような銀髪がチラリと視界に入った。
まさか、と思い左隣を見てみると


『ろ、ローレ…!』

ローレ「気付くの遅過ぎ」

『ごめん青色ってイメージが頭に焼き付いてて全然気付かなかった。

ローレ「はぁ?なんだそれ。」


そっか…ローレが隣か…。
座った直後にサリーと話したから全然見てなかった。
まぁローレなら黙々と授業受けそうなイメージだしこれといって支障はないかな。

後のメンバーは、ソロは一番後ろの窓際の端っこ。いわば主人公席だ。
アレフとエイトとナインは前の方で、アレフの席は二人に挟まれている。
あの二人の間だと嫌でも真面目にならざるを得ないかも…。アレフどんまい。



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