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第31章
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学園長先生により、ほとんど強引に探偵にされてしまった私たち。
否定しようにも全く聞く耳を持ってくれないので、そのまま流れるようにして事が進んでしまった。
私たちのことは転入生だと、生徒たちには話してあるそうだけど…。
不安を抱えたまま、これから私たちが本校の生徒としてしばらく生活する学生寮に向かうことにした。
どうやら全員分の制服が各部屋に用意されているらしくて、そういうことに関しては対応が至れり尽くせりだ。
部屋は六部屋しかないらしいから、何人かは相部屋になるんだって。
手渡された学園内の地図と一緒に、部屋の振り分けが書いてある紙も挟んであるって聞いた。
ほんとそういうことに関してだけは至れり尽くせりだよ。
アルス「えっと…確か部屋の振り分けの紙も一緒に渡されたんだよね。」
レント「俺はどこかな〜…………あ、俺転校するわ」
『早いよ!!』
レント「だってよりにもよって相部屋がコイツなんだぜ?!」
そうやってレントが指差した方向にいたのは、部屋分けの紙を見ながら同じように顔をしかめているナインだった。
ナイン「僕だって嫌ですよ。何でよりによってこんな騒がしい人と…。」
アレフ「げ、げぇぇ!僕レックと一緒の部屋じゃん!!」
レック「えっマジで?おー本当だ。よろしくな、アレフ!」
二カッと笑うレックに、アレフもさっきの二人と同じように顔をげんなりさせた。
別にそんな特別仲が悪いとかじゃないんだし、そこまで落ち込まなくても…。
アレフ「何が悲しくて男と一緒に生活しなきゃいけないんだ…。」
レック「まぁまぁそんな気落とすなって!結構楽しいかもしれないだろ?なっ!」
アレフ「何でレックがそんな笑顔でいれるのか理解できないよ。はぁ…ミキと同じ部屋が良かったなぁ…」
『い、いや…それはさすがに無理があるかと…。』
いくらあの学園長先生でも、さすがに男女共に同じ部屋にするってことはないよね…。
しかし考えれば考える程、なんだかあの人はやりかねないかもしれないという気持ちが湧き上がって来たので、私は急いで自分の名前を探した。
『……あった!私はE部屋だから一番端っこだね。』
そこに私以外の名前が記されていないのを確認し、一人部屋だったことにホッとする。
さすがにあの学園長先生もそこはわきまえてくれたんだな…。
他の皆の名前を探すとローレとアルス、そしてソロとエイトがそれぞれ同じ部屋みたい。
エイト「あれ、そういえばリュカが見当たらないけど…」
ソロ「あいつなら学園長に引きとめられてたぞ。話があるらしい。」
ローレ「…?リュカも一人部屋だ。」
『ほんとだ。通路挟んでるけど私と同じ端っこの部屋だね。』
アルス「これどうやって決めたのかな?」
ナイン「僕さっき学園長さんがあみだくじ作ってるの見ましたよ。」
アレフ「えっ…そんな完全な運任せで決められたの…?!」
レント「な、何ぃー?!こんなことならラックの種大量に食っとくべきだった!!」
レントの悲痛な叫びを聞いて、苦笑しながら歩いているうちに、いつの間にか学生寮の前まで来ていた。