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第31章
ナイン「それですよ!学校!」
レック「お、落ち着けって。どういうことだよ?」
アルス「どこかに学校があるの?」
ナイン「はい。僕のいた世界なのですが、エルシオン学院という有名な学校があるんです。なんでも入学するには頭脳だけでなく武器の扱いも鍛えなくてはいけないらしいんですよ。」
リュカ「へぇ、そんなところがあるんだね。」
頭脳だけじゃなくて武器の扱いもか…。
さすがはこの世界観だ。
私の通っていた学校とは大違いだなぁ。
時間割に武術があったりだとか、友達が剣の練習したりするのを想像して、楽しそうだと思う反面少し怖い。
レント「でもよー武器の扱いはともかく俺たちろくに勉強なんかしてないぜ?」
アレフ「えー意外と何とかなるんじゃないの?」
完全に入試ってもんをナメてやがる…。
まぁ無理もないかもしれないけど。
でもナインの言い分では名門校っぽいしなぁ…。
そんな簡単にいくのだろうか。
ローレ「頭脳なんかどの道必要ないんだし、武器の扱いだけに集中できないんなら時間の無駄なんじゃないのか?」
エイト「バカだねローレは。」
ソロ「さすが脳筋。」
ローレ「なっ…何でだよ!」
ナイン「魔法使いにおいて大事なのは何だと思いますか?」
ローレ「MP」
レント「それお前が欲しいもんだろ。」
レック「惜しいといえば惜しいんだけどな。」
ローレ「他にあるか?」
リュカ「ちなみに仲間にしたモンスターでそれが低かったら中々指示通りに動いてくれないんだ。」
ローレ「んなこと言ったって………あっ!」
アルス「おっ、分かった?」
ローレ「人情…?」
エイト「僕の中でローレはヤンガス枠に決定されるけどいい?」
レック「俺も完全にハッサン枠として認識しとくぞ。」
ナイン「はぁ…かしこさですよ、かしこさ。体力のない魔法使いは頭脳で勝負なんです。」
『なるほど。今まで剣の腕ばっかり鍛えてきたローレも、勉強して賢くなったら魔法使えるようになるかもしれないよ!』
ローレ「今すぐエルシオン学院に行こう」
レント「意見変わるの早過ぎだろ。」
『でも確かに学校ってなると先生や資料とかたくさんあるだろうし、もしかしたらルビスさんのことも調べられるかもしれないね!』
レック「じゃあもう決まりだな。次の目的地はそのエルシオン学院だ!」
アルス「でもどうやって行くの?ナインの世界なんでしょ?」
ナイン「ご心配には及びませんよ。僕の世界へだったらきっとサンディが連れて行ってくれるはずです。」
レント「そういやそんな奴もいたな。」
*「聞き捨てならないわね。」
『サンディ!』
レント「げっ」
レントの失礼過ぎる発言のすぐ後に聞こえた女の子の声。
なんだか懐かしい。
振り返ると、腰に手を当て睨みを効かせているサンディがいた。
サンディ「こーんな乙女を忘れるなんてありえないんですケド!」
アレフ「でも全然見かけなかったよね。」
サンディ「アタシだって暇じゃないのよ。これでも自分なりに夢を追い続けてるっつーか」
ナイン「それで本題なんですけど、」
サンディ「スルーかよ!」
さすがナイン…。サンディと旅してただけあって扱いが上手い。
サンディが加わったことでまた一段と明るくなった雰囲気の中、ナインは事情を説明した。
サンディ「ふんふん…なるほどね。」
リュカ「連れて行けそう?」
サンディ「あったり前じゃん!アタシを何だと思ってるワケ?」
レント「ハエ」
サンディ「アンタ覚えときなさいよ。」
ローレ「なぁ行けるんなら早く行こうぜ!」
『楽しそうだねローレ…』
まるで遠足に行く前の子供のように期待とワクワクに満ちた表情で促すローレ。
あんまり考えずに言っちゃったけど、そのエルシオン学院で勉強したからといって魔法が必ずしも使えるようになるかは確定してないんだけどね…。
サンディ「それじゃあ行くよー!す、す、す、スウィッチ・オンヌッ!!」
レック「前にも思ったけどスイッチってどこにあんの。」
エイト「さぁ?」
サンディが以前と同じように見えないスイッチらしきものを押す動作をし、パッ!と眩い光が放たれた。
なんだか久しぶりの異世界飛び。
次はどんな場所なんだろうか。
期待と不安の混じり合った複雑な気持ちのまま、私はゆっくりと目を閉じた。