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第30章








ジャミ「…チッ小娘の分際で生意気なことを…。」



先程まで大きく体制を崩していたジャミだが、傷など見当たらない位ピンピンしてる様子。
いつの間にか立ち上がって、私達を睨み返していた。

あれ、おかしいな…会心の一撃喰らわせた気がしたんだけど。



ジャミ「思ったよりも早く来たようだな…光の勇者達よ。」


アレフ「えっ!何で知ってんの?」


レック「ドルマゲスも知ってたし…もしかして俺ら結構有名人!?」


レント「マジかよ!これはそろそろサインの練習しないといけねーかな…」


ソロ「お前らはそろそろ緊張感という言葉を覚えた方がいい。



さすがは皆だ。
ほんと色んな意味で勇者だとつくづく思うよ。

そんな雰囲気にも少し安心し、さっきまで感じていた怒りなんて吹っ飛んでいた。



ジャミ「…どうやら先代の天空の勇者までいるようだな。それならば話は早い。ここで全員の息の根を止めれば世界は我ら魔族のモノとなる!」


ナイン「何を仰ってるんです?ここで息の根を止められるのは貴方の方ですよ!」


ジャミ「ほぅ…ではかかってくるがよい。そこまでの自信があるなら存分に楽しませてくれると信じているぞ!フハハハハ!!」



ジャミが高笑いしたと同時に、皆の剣を握る力がグッと強まる。


笑ったら口元ブルルッてなるからやめてとあれ程…。

ますます馬っぽくて、悪役的にかっこいいこと言ってもそこにしか目が行かないよ!


一人で場違いな笑いを堪えていると、どうやら本格的に戦闘が始まっちゃったようで…。
気が自然と引き締まるのを感じた。


しかしどうも様子がおかしい。




キィンッ───!


皆が剣を振りかざし、ジャミへと襲いかかる。

が、なぜそんな音が聞こえるのだろう。
ジャミは剣を持っていない。ましてや盾なんて、そんな装備は何一つしていないのだ。
まぁだから余計馬っぽく感じるんだろうけど…。

まるで剣と剣で張り合っている、もしくは剣を盾で受け止めているような、防御する音が聞こえる。



アルス「いっ…一体どうなってるの…?!」


レント「はぁ…はぁ…こっちの攻撃をほとんど受け付けねぇぞ!」


エイト「っ…そ、そんなに強い相手なの…?!」


ジャミ「ハッハッハッハッ!オレは不死身だ!誰もこのオレ様を傷付けることはできない!」


『…っ!』



その時だった。
ジャミの体の前に、うっすらと光るカベが見えたのは。
きっとあれがバリアとなって、攻撃を防いでるんだ!
なんってセコい技を…!!
そんなんだから人間になりきれてないんだよ!

でもあれをどうやって消すのかが問題だ。
普通の攻撃で壊せないというのならば、何か別の方法を考えなくてはならない。

どうしよう…検討もつかない…!
皆でさえダメージを与えられないんだから私が下手に出て行くのも無駄だろうし…魔法も技もできないし…

あぁもう!どうすりゃええねん!!




その時、ジャミが突然手を上に高く上げた。
そして不気味に笑いながら、為す術もない皆を見下ろす。


凄く嫌な予感がした。
胸騒ぎがハンパじゃない。




ジャミ「光の勇者よ…ここがお前達の墓場となる!死ねぇぇぇ!!!」




ジャミが手を振りかざそうとした瞬間、私は無我夢中で走り出していた。





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