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第29章
階段を駆け下りて行った先には、予想通りミキがいた。
その隣には大きな馬のようなモンスター。
アレフ「あっ!!やっぱりミキだ!」
レック「本当だ!よかった無事だったんだな!」
急いで駆け寄ろうとすると、ミキは物凄い勢いでそのモンスター目掛けてダッシュをした。
そしてそのまま踏み込んで、まさに今蹴りを入れようとする瞬間だった。
『馬野郎がーーーッ!!』
ドカッ!!
[ 会心の 一撃! ]
ジャミ「ぐッ…?!な、なんだと…?!」
ミキの攻撃が予想外だったのか、完全に不意をつかれたジャミ。
まともにダメージを喰らったため、大きくよろけた。
レント「つ、強ぇー…」
アルス「も、もしかして僕たちが助けに来る意味無かったんじゃ…」
ソロ「…そうでもないみたいだぞ。あいつ、着地に失敗して半泣き。」
ローレ「…そこら辺はいつものあいつで安心したわ。」
一瞬のミキの勇姿に、思わず目を丸くさせて固まっていた勇者達。
だが飛び蹴りの着地に失敗した彼女を見て、あぁ、いつものミキだ…と心の隅で安心し、もう一度駆け寄った。
リュカ「大丈夫?ミキちゃん。」
『えっ?!み、皆?!』
エイト「無茶しすぎ。ほら、ホイミするからこっち向いて。」
『あ、ありがとう…。で、でも何でここが…?』
さっきチラッと聞こえた声は気のせいじゃなかったんだ!
ということはさっきの飛び蹴り見られたってことだよね…?
そのことに気付いて頬に熱が集まるのを感じる。
レント「そんなことは後だ後!」
ローレ「今はまず目の前の邪魔者から片付けないとな。」
ナイン「ミキの華麗な飛び蹴りは見させて頂きましたからね。」
レック「今度は俺たちの番だぜ!」
そう言って、私を庇うようにズラリと並んだ皆。
来てくれたんだ…という嬉しさと、安心感が一気に胸へ押し寄せる。
剣を構えてジャミを見据えるその背中が、何だかとても大きくて頼もしく見えた。