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第28章






レント「ここにミキがいるんだよな…」


ナイン「まだ決まったわけではありませんが確率は十分にあるでしょうね。」


レック「それにしても本当に皆で飛べたな…」


リュカ「結局皆しっかり手繋いでたよね。」


ソロ「そりゃ落ちたくないからな」




アルスの考えた皆で手を繋ぐ作戦は見事成功し、無事北へと飛ぶことができた。
降り立った教会から真っ直ぐ北に向かうと、いかにも怪しそうな塔があった。

ドリスの証言が本当ならば大臣はここに向かい、この塔が関係しているのは間違いないだろう。

ここにミキがいると信じ、無事を祈りながら重い扉を開けた。







ローレ「おっ、何だ?何か魔法陣みたいなのがあるぞ。」


エイト「ほんとだ。光ってるね。」



ローレの指差す方向を見ると、確かに黄色く光る魔法陣があった。



アルス「もうこのフロアで他に行ける所は無いみたいだし、あの魔法陣が次の扉だろうね。」


ソロ「アレフお前試しに行ってみろよ」


アレフ「え?!何で僕が?!」


ソロ「さっき泣いてただろ」


アレフ「全然関係ないよ。まぁいいけどさ…」



しぶしぶ魔法陣に近寄り、魔法陣の上に乗りかかった。
その瞬間、



ヒュンッ…!



「「「?!」」」



一瞬の光と共に、さっきまでそこにいたアレフが消えてしまったのだ。
突然のことだったので驚きはしたが、すぐにワープしたのだと理解する。



アルス「よーし僕も行こっと!」



アレフの様子を見て楽しそうと思ったのか、アルスがその魔法陣へと駆けて行き、同じように飛び乗った。



ヒュンッ…!




アルス「わぁ凄い!本当にワープできちゃった!」

アレフ「おおアルス!ようこそ新土地へ!」



アルスがワープしてすぐに、二人のはしゃぐ声が聞こえた。
若干隔たりがありそうなくらいで、そう遠くないようだ。



ナイン「新土地といいますか…」


レント「つーかこの壁の向こう側から聞こえねぇ?」


リュカ「そうだね。多分すぐそこだ。」


アレフ「あれっ何か皆の声がすぐ近くに聞こえる!」

アルス「確かに!皆ー、どこー?」


エイト「壁のこっち側ー!ジャンプしたら見えるよ!」


アレフ「えっマジで?…おおっ皆じゃん!なんだ案外すぐ近くだったんだな!」



ぴょーんっと跳ねたアレフが一瞬だけ見える。
こんなにも声が聞こえていたというのに距離感が分からないとはさすがアレフだ。



アルス「ほらっ僕もっここにっいるよっ!」



負けじとアルスも飛び跳ねているのだろうが身長のせいか、跳ねた拍子に上がった帽子の先しか見えない。



レック「アルスーお前全然見えてねーぞー!」


ローレ「帽子の先しか見えない」


ソロ「それ以上跳んでも体力の無駄だ、やめとけ。」


アルス「今発言した三人後で生魚服の中に入れるから!


リュカ「エイトの黒さがうつっちゃったかな…」


エイト「…リュカ?


リュカ「あはは…冗談だよ…」













***





ナイン「…結構広い所に出ましたね。」


レック「そうだな。」



しばらく塔を歩き回ると今度は今までにない、広々としたフロアに出た。
壁が全くなく、奥に階段と宝箱があるだけだった。



エイト「うわー…いかにもトラップがありそう…」


ローレ「落とし穴か?」


リュカ「かもしれないね。慎重に行こう。」


アレフ「えーそうかな?ただ開放的なフロアも作りたかっただけじゃない?」


レント「お前よく今まで無事に旅してきたな。」


アレフ「だって僕仕掛けがあるダンジョンとかあんま行ったことないし。せいぜい真っ暗でジメジメしてるくらいかな。それに比べたら…


ズシャンッ!!


うわあああ?!


レック「ほら言わんこっちゃない。」



全く警戒心の無いアレフがてくてくと大胆にもフロアの真ん中を通っていると、いきなり床から数本の槍が生えてきた。

あと一歩前に進んでいれば……想像するだけでゾッとする。



アレフ「ち、ちょっと!聞いてないよ槍が生えてくるなんて!!」


ソロ「だから忠告したろ。」


アレフ「それにしても出てくるなら一言言ってよ!アポ無しとか失礼だろ!」



本気でビビったのか、尻餅をついたまま槍を指差してギャーギャーとわけの分からないことを叫んでいる。



アルス「アポ無しって…」


ローレ「逆に『あ、今から生えまーす』つって槍出てきてもキモいだろ。」


ナイン「ですがここは避けて通れないみたいですね。」


リュカ「ぽいねー…仕方ない、行くか。」



ズシャンッ!!



レック「うおおああ?!っぶねー!」



ズシャンッ!!
ズシャンッ!!
ズシャンッ!!




ソロ「…ムカつく」



ズシャンッ!!
ズシャンッ!!




レント「っだぁー!!めんどくせぇ!!これ頑張ったら槍の隙間から通れるんじゃねーの?」


リュカ「いや…さすがにそれは無理なんじゃないかな。」


アレフ「勇者たるもの何事も諦めないのが大切!!」


レント「よく言った我が子孫!!行くぞ!」


アレフ「おう!!」



リュカの止めも聞かず、先程出た槍と槍の間から無理矢理にも向こう側へと行こうとする二人。
びくともしない槍に、無謀な戦いを挑み続ける彼らをその場にいた全員で哀れに思う。



レント「…ふんぎぃぃぃ…!」


アレフ「…っぬおぉ…!」


ナイン「勇者たるものがそのような崩れた顔を見せていいのですか。放送できないレベルで崩壊してますよ。


ローレ「何をやってるんだあのバカ二人は…」


アルス「あれ、ローレは行かないの?ローレが加わったらロト組が揃うよ?」


ローレ「殴られたいのかお前。」


エイト「でも血が繋がってるのは事実でしょ。ほんとは挑戦したくてたまらないんじゃないの?」


ローレ「お前ら二人後で会心の一撃な。


ソロ「今日はエイト化する奴がたくさんいるな…」






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