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第28章







レック「…それにしてもさ、この靴一足しかないけどどうする?」


ナイン「一人しか行けませんね…。」



この靴を使うべく、城の外へと出たのはいいがその肝心の靴はたった一つだけ。
その靴の数に対してこの人数である。

再び無言になる勇者達の中に、とんでもないことを言い出した者がいた。







アルス「だったら皆で手を繋ごうよ!」











「「「は?」」」




アルス「だって靴を履いた人について行ければいいんでしょ?じゃあ皆で手を繋いだら皆一緒に飛べるよ!」


ソロ「お前は 何を 言っているんだ


アルス「えっ?え、なんで?」



皆が呆気にとられた顔をしているのも、ソロの言葉の意味も本当に分からないといった様子で首を傾げているアルス。
その姿を見てああ、彼は本当に純粋なんだなぁ…と全員が再確認した瞬間でもあった。



エイト「アルスのことだから本気で言ってるんだろうけどね…」


ローレ「いい歳した男達がぞろぞろと手繋いで北の空へと飛んでく…」


レント「すっげぇシュール



想像してみて、思わず顔をしかめる。
なんて酷い図だ。



アルス「いい考えだと思ったんだけどなぁ…」


リュカ「ははっ、まあでもそれが一番早いかもしれないね。」


ナイン「え、まさかリュカ実行する気ですか?」


リュカ「うん。だって今はそれしか思いつかないからね。それに一刻も早くミキちゃんを助けに行きたいだろ?」



ミキの名前を出されると何も言えない。
リュカの言うとおりでもあるので、仕方なくアルスの案を受け入れることにした。

しぶしぶとお互いに手を差し伸べる。



ソロ「おいレック、しっかり握り締めるな。気持ちが悪い。


レック「なんか傷ついたんだけど。


ローレ「うえぇ…」


ナイン「繋ぐ前から心底嫌そうな顔を向けないで下さい。僕だって嫌なんですよ。」


エイト「アルスはなんだか楽しそうだね…」


アルス「あははっ。だってこんな機会めったにないよ!」


ソロ「できれば一生訪れてほしくない機会だけどな。」


レック「あーあ、この相手がミキだったらなー」


リュカ「そのミキちゃんのためにこうしてるんでしょ。少しだけだから。」


レック「分かってるって。」


アルス「そういえばアレフがさっきから全然見えないんだけど…」


ローレ「あいつならさっきのサンチョとのやりとりで泣いた顔を見られたくないからってどっか行ったぞ。」


レント「ハッ、軟弱だぜ。」


エイト「へぇ…じゃあレントの目はなんで赤くなってるの?」


レント「こっここここれは花粉症だ!!ここ植物がお、多いからな!」


ナイン「さすが遠い親戚…涙もろいところまで似てるんですね。」




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