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第27章






ガチャッ!



ドリス「きゃっ?!」



ドアを勢い良く開けてしまい、鏡を見ていたドリスが驚いてビクついた。
だがそれに構うことなく、つかつかと部屋に入ってくる勇者達。



ドリス「な、何よ…びっくりするじゃない」


レント「お前がドリスか?!」


ドリス「一体何なのよもう!ていうか様を付けなさいよねあんた。」


レント「時間がねーんだよ!」


ドリス「様って言うだけで一秒もかかんないでしょうが。



突然入って来た挙句一国の王女である自分に失礼な態度をする奴の登場により、ドリスの機嫌はますます悪くなる。

その様子を見かねたエイトが、スッと前に出る。



エイト「申し訳ございませんドリス様。ですが僕達が急いでいるのは事実です。一つ頼み事を聞いてもらえないでしょうか?」



スマートに対応するエイトはさすが元近衛兵というべきか。
お城で働いていただけ、やはり慣れている。
皆が見守る中、ドリスはどこか予想通りといった表情を見せた。



ドリス「来るかな、とは思っていたわ。パパや使用人にも話してはみたけど…。私の知っていることが役立つかは保証しないわよ。」


レント「っ全然いいって!知ってること全部教えてくれ!」


ソロ「レントお前はちょっと黙っとけ。」


ドリス「全部も何も一つしか知らないわ。誰も信じちゃくれないけどさ。あたしは見たんだよ。大臣のやつが北の方へ空を飛んで行くのを。」



”大臣”といったキーワードに、全員が反応した。
ハッとした表情でお互い顔を合わせる。
何よりも今知りたかった情報で、一つの難題が解けた。



ナイン「ありがとうございます!!本当に助かりました!」


ドリス「あら、信じてくれるのね。だったらもう一つだけ助言するわ。北に飛んで行くには道具が必要よ。今なら大臣いないから彼の部屋を調べた方がいいと思うの。」


アルス「よし!じゃあ大臣を追うためにも行こう!」


レック「おう!今度こそ有力な手がかりだな!」






ドリス「ちょっと待って!」



さっそく部屋を出て行こうとする勇者達を、切羽詰まった様子で呼び止めた。デジャヴを感じながらも後ろを振り向く。
ドリス自身、咄嗟の自分の行動に驚いている。








ドリス「絶対あの子を助け出して来て。」



手鏡を握る手が少し震えている。
あの子というのが誰のことなのか、その場にいた全員はすぐに分かった。






ドリス「絶対にミキと一緒に無事で帰って来なさいよ!」



しっかりした口調で王家という威厳とほぼ同じくらい、彼女の必死さが見て分かった。

ミキの身を案じているのは、自分達だけではないようだ。





リュカ「もちろんさ。必ずミキちゃんを連れて帰って来てみせる……待ってて。」




それだけ言い残して部屋から出ると、ドリスは深いため息をついて椅子に座り直した。

自分がこんなにも必死になって頼むなんて。




ドリス(どうか、ミキが無事でいますように…)



何度も胸の中で繰り返しながら、祈る手にぎゅっと力を込めた。




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