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第27章






しばらくしてから勇者達は集めた情報を共有するため、再び会議室へと集まった。




リュカ「どうだった?何か有益な情報を得られたかな。」


レック「いーや、ダメダメだよ。どの人に聞いても答えることはほとんど一緒。」


ローレ「俺のとこも。皆気付かない内に寝てしまって記憶も曖昧。」


ソロ「現状は俺らと全く同じってわけか…」


ナイン「困りましたね…。これ程聞き出しても行き詰まったまま、ということでしょうか。」



全員が顔をしかめ、次の解決策を練ろうとしていた時、





レント「ちょっと待ってくれ」


皆から意見が出ないのを確認したレントが口を開いた。
視線が集まる中、ニッと笑ういつものレントの笑顔に皆は首を傾げる。


アルス「何か掴めたの?」


レント「あぁ。かなり有益な情報だと俺は思うぜ。」


エイト「もったいぶらずに教えてよ。」


レント「まぁ待てって。お前ら重要人物を忘れてないか?」


ソロ「重要人物?王様のことか?」


アレフ「え、でも普通にいたし僕達みたいに寝てたよね?」


レント「毎日そいつの一番近くにいるやつだよ。」


レック「え……使用人のおばちゃん…?!


ローレ「スパイだなんてハイスペックなおばちゃんだな…


レント「アホ。そんなおばちゃんいたら弟子入りレベルだわ。」


アレフ「あ、じゃあおばちゃんは違うのか。」


レック「おばちゃん疑ってごめんな。」


リュカ「ということは…大臣、か。」


エイト「あぁ…その存在すっかり忘れてた」


レント「そういうわけだ。裏切り者は大臣…俺はそう思う。」


アルス「でもどうして?まだ大臣って決めるのは早いんじゃ…」


レント「思い出せ。ここに来て初めて王に会った時、エイトが言ってたことを。」





エイト「それは重大な情報だから他の家来達に聞かれないようにするためだよ。」


アレフ「何で聞かれちゃダメなの?家来って言っても大臣とか位の高そうな人しかいないのに。」


エイト「大臣とかだからこそだよ。王様に近い支配下だからこそ重大な情報を得やすく、それに基づいて寝返りやすい。つまり裏切る可能性が高い人物達ってわけ。」






ソロ「なるほど…。考えたな。」


レント「へへっ、まぁ俺にかかればこんなもんよ。」



ソロの言葉に得意気になりながら答える。
だが周りはまるで興味なさそうに次の段階へと進もうとしていた。



ナイン「じゃあさっそく大臣を問い詰めてみましょう!」


ローレ「そうだな!力尽くでも吐かせてやる。」



一気にやる気満々になった皆を見て、レントは慌てて呼び止める。


レント「ちょ、待てって!」


レック「なんだよ。」


エイト「君の自尊心むき出しの話ならもういいよ?」


レント「やかましいわ。つーかそうじゃなくて!その肝心の大臣がいねぇんだって!」


リュカ「大臣がいない…?こんな時にいないとなると…」


アルス「犯人はもう決まったも同然だね!」


アレフ「でもじゃあどこにいるんだろう?」


レック「くそっ…結局ふりだしかよ!」


最初と同じ状況に戻ってしまったと思い、皆が悔しがる。
いいところまでいったと思ったのに。

誰もがそう感じた時、考え込んでいたリュカが口を開く。



リュカ「いや…まだ誰も話を聞いてない人が一人いるはずだ。部屋から一歩も出ていない、ミキちゃんと仲の良い彼女がきっと何かを知っている。」







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