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第27章







リュカ「…ん……」



重い瞼をなんとか開け、上半身を起こす。
いつの間に眠ってしまっていたのだろうか。

辺りは真っ暗でほとんど何も見えないが、様子がおかしいことは何となく分かった。
次第に暗闇に目が慣れてきたのか、周りが見えるようになった。



オジロン「……ムニャムニャ…もう飲めんわい……」


サンチョ「…すうすう…。坊っちゃん…ご立派になられて……ムニャムニャ…」



二人の寝言をはじめ、周りの皆は自分と同じように寝てしまっていたことが分かる。
見渡せば見慣れた勇者達もぐっすりだ。


皆がいたことに安心しかけた時、ハッと気付いた。



リュカ「ミキちゃんがいない……?」


ぼんやりとした意識の中で呟くと、突然体に電気が走ったように立ち上がり、フロアをくまなく探し始めた。


リュカ「いない……」


焦りを感じながらも、もしかしたら二階にいるのではないかという淡い期待を抱きながら急いで階段を駆け上がる。

正直嫌な予感がした。

そんな気持ちを振り払うようにして、彼女が数時間前に休んでいた部屋の扉を思いっ切り開けた。









大広間と同じように暗闇のままの部屋。

不自然に開いた窓から、月の光が少しだけ差していた。
風に揺られるカーテンが大きく弧を描く。
水道の近くに無造作に落とされたタオルに目を向けた。





そこに彼女はいなかったのだ。





当たって欲しくなかった予想が、的中してしまった。
この部屋の様子からして、彼女の身に何かあったのだと瞬時に理解する。



リュカ「また…危険な目に…!」


やるせない気持ちを押し込めきれず、唇をきつく噛む。

だが今はこんなことをしている場合ではない。
まずは皆を起こさなくては。

そう思った僕は、大広間へと急いだ。




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