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第26章





『お疲れ様、リュカ。』


リュカ「うん、ありがとう。」




話を終え、再び戻ってきたリュカに声をかける。
やっぱちょっと疲れてるな…。
でもとてもスッキリした顔してる。




レント「知らなかったぜ…リュカが俺のことを守りたいって思うくらい大切に感じてただなんてよ…


エイト「気持ち悪いよレント


ローレ「何でそんな考えに至ったのか分からないけど確実にお前に向けた言葉じゃねーから。」


レント「え、マジで?!俺じゃねぇの?!


アルス「ほ、本気で自分だと思ってたの…」


レント「じゃあ誰だっつーんだよ」


リュカ「ふふっ…さぁ、誰だろうね」



にこやかにはぐらかすリュカはとても楽しそうだった。
でもほんとに誰のことを言ったんだろう…。
リュカにとってそんな思い入れのある人物がこの中にいるのかな?

うーん…皆同じくらい大切に思ってそうだけどね。




リュカ「さぁ皆、もうパーティーは始まってるんだし食べよう。今夜は皆が主役みたいなものなんだからさ。」


ソロ「いや完全に主役はお前だろ」


リュカ「僕が主役なら皆だって主役同然だよ。」



そう言って皆はそれぞれ料理に手をつけた。
アレフはもう始まる前から食べてたけどね。



レック「うまい!久々にこんなご馳走食べたな!」


ナイン「本当ですね。さすがはプロのシェフの味です。」


エイト「これ後でレシピ聞いてこようかな…」


アルス「あっ!ち、ちょっとレント!!それ僕の魚だよ!」


レント「へっへーお前がのろのろ食べてるからだろー」


アレフ「こらっ行儀悪いぞレント!」


ソロ「お前にだけは言われたくないだろ



目の前にある料理を食べるも、どんどんと追加が来るから全くなくなる気配がない。
皆よく食べるなぁ…。




リュカ「ミキちゃん」


『ん?』



ふいにリュカに呼ばれて振り向く。
すると何故だかクスッと笑われた。



『えっ?!何で今笑ったの?!変な顔してた?』


リュカ「違う違う。…ふっ…ちょっとじっとしてて。」


『う、うん…?』



また笑みを漏らすリュカを不思議に思いながらも言われた通りじっとする。


するとリュカの顔が近付いてきて…




『ふ、ふおおお?!?!な、何なになに?!


リュカ「わっ、ちょっと待って。大丈夫だから………はい、とれた。」



やっと離れてくれたリュカの手にはパンくず…?
…えっ?!まさかあれほっぺについてたの…?!



リュカ「可愛いことしてくれるね、ミキちゃんは。」


『ひ、ひぃぃめっちゃ恥ずかしい…でもありがとう…』



高校生にもなってパンくずを頬につけるとは何たる羞恥。
さらに、近付いてきたリュカに変な期待をしてしまった自分にも凄く恥ずかしさを覚える。



リュカ「あはは、顔真っ赤だよ」


『いやもう勘弁して下さい…』




アレフ「はーいケーキ入刀しまーす


ローレ「ロト組三人による初めての共同作業ー


レント「ほーらそこのお客様ー紫のムースと間違えて入刀すんぞー



『いやいやいや何で剣抜いてるの?!


笑顔だが目は決して笑ってはいない三人、というか皆…?に恐怖を覚える。
物騒だなおい。



レック「ミキー、ほらあーん」


は?!


レック「何だよー俺のスープが飲めないってのかー?」


どこの上司だ。いやそれくらい自分で飲めるから、ね?…って熱いわ!!


尚もスープの入ったスプーンを近付けてくるレック。


そのスープアッツアツだからね?それ分かっててやってる?だとしたらとんだイジメだな!


レック「こんな風に俺たちもアッツアツになってやろうぜーミキー」


ごめんちょっと何言ってるか分かんない。



こ、こんなどこぞの上司のようなうざ絡みをしてくるレック、私知らないぞ!


すると突然腰あたりに何かが巻きつくのを感じた。
な、なんだ…?

視線を移すと、



アルス「えへへーミキ、あったかいやー」


う、うん?!アルス君?!



驚いたことにいつもはこんなの恥ずかしがって絶対しないアルスが私の腰あたりに手を回して前からぎゅぅっと抱きついている。

レックもだけど一体どうしたの…?!



『…っと、わぁっ!?』



急にぐいっと後ろから引っ張られ、そのまま誰かに抱きすくめられた。
こ、今度は何なの…



ソロ「ん…ミキ…」


『ぎ、ぎゃああソロ?!?!何してるの?!』


ソロ「…行くなよ、あいつらのとこなんか…」


『うん…うん、行かないから肩に顔埋めるのやめて!くすぐったい!


普段はこんなこと絶対しない人達が色々と不思議な行動をしてくる。
さっきまで普通だったよね…?!

後ろからはソロ、前からはアルスが抱きついているなんとも言え難いこの状況。
ていうか二人ともなんか熱くない?

リュカに助けを求めようときょろきょろしてみたが、リュカは既にお城の人達に囲まれて話をしていた。


『そうだロト組は…』



三人も何だかケーキの奪い合いをしているみたい。
さっきまでケーキ入刀とか言って剣振りかざしてたくせに…


しかたなく腰に巻きついた腕を離そうと試みるものの、中々外れない馬鹿力。
アルスにこんな秘めた力があったとは…

と、変な感心を覚えていると、


べチャッ…



ひ、ひいいぃぃ?!


突然頬にぶつかってきた謎の物体。
感触的にクリームか何かだろう。



エイト「あっごめんミキ!手が滑っちゃって…


『ねぇそれ嘘だよね?どこをどう滑らせたらクリームが人の頬に辿り着くのか是非とも知りたいけど何で今日一番の笑顔で謝罪してるの?!



明らかに今突進させましたというようにこちらを向いたままのケーキを持つエイト。
えげつない…やることがえげつないですよエイトさん…



エイト「クリームがついちゃったからには仕方ない…」


『う、うん…確信犯だけどね…


エイト「僕が綺麗にしてあげるね」


『は、ははっエイトってばさすがー!料理だけじゃなく掃除も上手いもんねー!いやあのすいませんでした私に女子力足らなくてほんとすいませんでした



謝るからいい笑顔で近付いて来ないで!
タオルも何も持っていない状態で一体どうやって綺麗にしようっていうの!



前も後ろもがっちりホールドされた状態で身動きの取れない私にどんどんと近付いてくるエイトに思わず目を瞑ると、




ナイン「な……にしてるんです、かッ!!


エイト「痛っ!」



ドカッという音と共に、エイトがよろけた。
どうやらナインが鉄の奥義で殴ったようだ。
わ、わぁ…凄く痛そう。痛そうだけど、



ナインよくやった!!


エイト「……っち…



今の妙な舌打ちは聞かなかったことに致しましょう。
笑顔は?!いつもの笑顔はどうしたのエイト!!



エイト「君はいつも僕の邪魔をするね。」


ナイン「それはお互い様じゃないでしょうか。それよりミキに何をしようとしていたんですか?」


エイト「頬にクリームがついちゃったからね。拭こうとしてただけだよ。」


ナイン「それにしては近付き過ぎじゃないです?」


エイト「じゃないと拭けないでしょ?」



バチバチと火花を散らす二人を身動きの取れない状況で見守る。
な、なんかすごくどうでもいいことで言い争ってる感じがしなくもないけど…。




ナイン「そういうことを言ってるんじゃないんですよ。」


エイト「…」


ナイン「ミキのクリームを拭き取るのは僕の役目です。


わぁ凄い!見事に路線が外れたよナイン!


エイト「へぇ…」


『エイトその相槌はおかしいんじゃないかな!』



頼みの綱のナインまでもがおかしなことを言い出した始末。
ほんとみんなどうしちゃったっていうの?!


戦闘態勢に入り始めた二人はというと何故だか顔が少し赤いように見える。
…?戦闘態勢になっているとはいえまだ動いてもないのに少し息が上がってる…?



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