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第26章





リュカが行った方向を見ると、前にいるオジロン王と何やら話している。
しばらくするとオジロン王が急に立ち上がり、声を大きく張り上げた。



オジロン「皆の者!よく聞くように!!既に知っている者もおろうが、今余の隣にいるのが先代パパス王の息子リュカじゃ!」



賑やかだったロビーが王様の声で静まったかと思えば、今度は色々な声色の混ざったざわめきが起こった。

驚きの声を上げる人や、やっぱりねと頷く人、感動して涙を浮かべる人さえいる。



レック「あーあ。いいのか、これ?」


アレフ「何が?」


レック「いや、俺たちまだまだ旅続けるんだろ。言い出しにくくないか?この空気。」


ローレ「こんだけおかえりモードなのにいきなりいってらっしゃいだもんな。」


ソロ「何だそのモード」


エイト「何か考えがあるんでしょ、リュカには。じゃないとあんな堂々と立ってないよ。」



エイトの言葉にもう一度リュカを見る。
確かにそこには慌てる様子もなく、スッと王の隣に立つリュカがいた。



オジロン「余はこれより、このリュカに王位を譲ろうと思う!リュカよ。ひざまずくがよい。」


また辺りが静まった。
妙な緊張感が流れている。
 

オジロン「グランバニアの子にして偉大なる王パパスの息子リュカよ!余は神の名にかけて本日この時よりそなたに王位を譲るものとする」



レント「え?あいつ王になんの?」


ナイン「レント静かにして下さい。」


レント「なぁ、じゃあ俺らともう旅しねぇわけ?」


ソロ「口を開くな



オジロン王が赤いマントをリュカにかけた。



『あ!あの紋章、旗に描かれてあったのと同じだ。』



リュカにかけられた赤いマントの後ろには金糸でグランバニアの紋章がデザインされてあった。



アルス「そういえば試練の洞窟にも描いてあったよ。」


アレフ「何か貫禄あるよね、リュカって。ああいうマント着てると余計に。」



赤いマントを肩にかけ、凛と立つその姿は確かに王様という名がふさわしい人物に見えた。
ほんと、次元が違う人物みたい…。

まぁ違うっていえば違うんだけど。



オジロン「さあリュカ。その玉座に座るがよい」


オジロン王がリュカを玉座へと促す。
周りの人を見れば緊張感は解けないままだが、期待に満ち溢れた表情をしていた。


私たちもジッとリュカを見つめる。




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