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第25章





***




リュカ「王に会う時にここを通ったけど日が暮れると雰囲気も随分違うね。」


『うん。さっきピピン君って子にここで夕日を見せてもらったんだけど凄く綺麗だったよ。』


リュカ「あぁあの宿屋の子かな。確かにここから見たら絶景だろうなぁ。」


『今はもう日が暮れちゃってるけどね。』


まだ完全に夜になったわけではないが、星がちらちらと出始めている。


リュカ「グランバニアは自然の中にあるお城だから何だか落ち着くね。」


『それもあるけどリュカの場合、やっぱ本能的に故郷を感じ取ってるんじゃない?』


リュカ「ははっ、そうかも。」


そうやってリュカは少し恥ずかしそうに笑顔を見せた。

こんな風に笑うリュカって初めて見たかもしれない。



そしてしばらく二人とも何も言わず、外を眺めていた。

さっき来た時よりも少し冷たい風が気持ちいい。

会話こそないが気まずいなんて気持ちにはならず、むしろリラックスできるのは、相手がリュカだからかもしれない。






リュカ「今日さ、」


そんな静かな空間の中、リュカはゆっくりと話し出した。


リュカ「ふと思ったことがあるんだ。今日初めて感じたってわけじゃないんだけどしっくりきた、って感じかな。」


『うん。』


リュカ「皆と関わって、一緒に旅をするのがすごく楽しいって最近よく思うんだ。」


『そうなの?』


リュカ「うん。まるで兄弟ができたみたいで嬉しいんだ。僕はずっと一人っ子で、父さんと二人で旅してたから。」



遠くを見ながら話を続けるリュカ。
その目はさっきのお城の人達のようにすごく生き生きしている。



リュカ「かなり前にヘンリーって奴と一緒に旅してたこともあったけどね。初めて会った時はイタズラされるわいきなり子分にしてやろうか?とか言われるわで最悪だったよ…。」


『あははっリュカでもそんなこと思うんだね。』


リュカ「まぁ子供ながらに嫌だなとは思ったかな。だけど色々あってね、
今では僕にとって1番の親友なんだ…。」



そう目を細めながら語ったリュカはとても懐かしそうだった。
リュカの一番の親友、か。
どんな人なんだろうなぁ…。



リュカ「僕自身、そんな風に思える仲間が他にできるなんて思っていなかったんだろうね。嬉しい反面、結構驚いてるよ。

だからこそ、そう思える仲間達とこれからも旅をして行きたい。一緒に立ち向かって行きたい…。」


『リュカ…。』


私は拳をぎゅっと握った。
風は相変わらず心地よく吹いたままだ。



『うん。私も…私も皆と一緒に旅をして行きたいよ。新しい世界を皆で見つけていって、もっともっと笑顔を増やして、最高の冒険にしてみせる。』


リュカ「…うん。ありがとう、ミキちゃん。」


そう言うと、リュカは最高の笑顔を見せてくれた。


『う、ううん…リュカこそ話してくれてありがとう。』


なんだかその笑顔にドキッとしてしまい、さっと目を離してしまった。


だけどリュカがこんなに自分のことを話してくれて、少しだけでもリュカのことが分かったような気がして、嬉しかった。





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